国産、小麦,無添加、生イーストのタローパン
2000年3月2週号
パンは天然酵母パンが原料もシンプルで安全性も高く、本来のあり方であることはいうまでもありません(カタログ1998年4月2回参照)。もしあえてその天然酵母パンの欠点をさがせば、経時変化とともにパサつくということです。(1週間くらいたっても、蒸せばおいしさが戻ります。)日本ではパンの伝統がなく、市販のような薬品だらけのフワフワのパンをパンだと思っている人が多いのです。その薬品だらけのきめの細かい、しっとり感をおいしく感じる人が意外と多いのです。いわば好みの問題で、これを理屈で説得するのはむずかしいと思います。タローパンは生イーストを使っていますので、市販に近いしっとり感があります。国産小麦を使い、粗悪な原料を使わない、無添加のタローパンは市販のパンと比べてはるかに良心的なパンです。生イーストを使うと天然酵母パンのように3日間発酵することなく3~5時間でパンに仕上がります。これでは小麦のうまみが引き出されないままパンになってしまうので、乳製品などを補うことになります。もちろんタローパンではこれら乳製品にもこだわっています。
森正一社長
『タローパン 森正一さんのメッセージ』
来年創業50年を迎えるタローパンが、国産小麦で添加物無し、しかも原材料も安全な物にこだわってパンを造り始めて約15年になります。そのきっかけはひょんなことでした。ある日、見知らぬおばあさんが店頭に来られて『パンを焼いて下さい。』というのが、私と国産小麦のパンとの出会いでした。『おばあちゃん、どんなパンが欲しいの?でもあまり少ない数だと焼けないよ。』『私は、ある共同購入会に入っているけど、パンがないので是非タローパンのパンを共同購入で食べてみたい。』というのが最初のやり取りだったと思います。後日、<暮らしをよくする会>に行ってみると食べ物の安全性について熱く語る西川栄郎さんとお会いすることができました。当時、私は家業のパン屋を父から引き継いでまだ3年目の駆け出しでした。一応、パンの知識は勉強していました。しかし、国産小麦でパンが焼けるとは思いもよりませんでした。『とりあえずやってみるか!』と、軽い気持ちで始めましたがグルテン量の少ない国産小麦、しかもイーストフード等の添加物もなしのパンは想像以上に造りにくく何度も失敗した事を覚えています。その後、2児の父となりこの子たちや他の子供達にも安全でおいしいパンを食べさせたいと真剣に考えるようになりました。また、西川さんからは食品の安全性や、日本ではいかに添加物の多いパンが製造されているかを勉強させてもらい、また、様々な安全性の高い原材料も紹介していただきました。特に、国産小麦は現在に至るまで十数種類の物を試作し、よりパンらしいパンができる物へと変えていきましたが、その都度何度も失敗し、もったいないと思いながら出来上ったパンを何度捨てたかしれません。今では、国産小麦のノウハウを15年積み重ねてきてそこそこ納得のゆくパンができるようになりました。これからも、より安全でよりおいしい国産小麦のパンを造っていきたいと思います。現在、当社の国産小麦パンは小麦粉はもちろん、塩、砂糖、油脂、牛乳、粉乳、卵等もより安全性の高い物を使用し、当社でパン生地造りをする際にイーストフード、乳化剤、防腐剤等の添加物は一切入れていません。また、その他の副材料(あんこ、チーズ等)も安全性の高いメーカーの物を使用しています。
≪原材料≫
その他離型剤はよつばバターを使っています。分割機などには影山さんの菜種油(国産菜種油圧搾一番搾り)を使っています。なお、(※)は諸事情によりやむをえず使用を認めていますが、できれば、より適切なものへの切替が必要です。・カネカの生イースト(酵母菌の餌は廃蜜糖。添加物はなし)・たむらのPHF玉子(PHFコーンを使っているが、さらに改善が残っている。)・鎌倉ハムのベーコン(豚のエサ、飼い方がオルター仕様ではない。)
市販のパンの問題点
パンの発酵の材料としての良い順番は①天然酵母②生イースト③ドライイースト④イーストフードです。オルターではドライイースト(原料、キャリーオーバーの添加物)、イーストフード(発ガン性のある臭素酸カリなど食品添加物のかたまり))は扱いません。大手のパンはほとんどが薬品だらけのイーストフードパンです。タローパンはカネカの生イースト(廃糖蜜を酵母菌のエサとしているが無添加)を使っていますが、生イーストの中には乳化剤(グリセリン脂肪酸エスラル)やキャリーオーバーの添加物が使われていることがある。輸入小麦には、ポストハーベスト農薬、ヨーロッパから輸入されている乳製品にはチェルノブイリの放射能汚染の心配があります。玉子(エサに問題)、あん、チーズやその他の副原料も全て問題だらけです。パンを型からはずすための離型剤[大手では石油の流動パラフィン、よっぽどましなパン屋でもショートニング(ポストハーベスト農薬、遺伝子組換え、n-ヘキサン抽出による精神病、心臓病、ガンなどの心配)]、秤量するために油を使って分割機で切っていきますがその植物油(ポストハーベスト農薬、遺伝子組換、n-ヘキサン抽出など)、練り機に使う油(同上)なども問題となります。その他いろんな添加物を使っています。
ケーキドーナツ、ココアドーナツは原料が①吉原食糧のドーナツミックス粉(香川県産小麦粉、グラニュー糖、でんぷん※、ベーキングパウダー※、バニラ※)、PHF玉子※、フライ油(ナチュラルショートニング※)、オーガニックココア(ココアドーナツのみ)です。とくにベーキングパウダー(薬品だらけ)、ショートニング(前述)は問題であり、現状のままではオルターでは中止すべき商品です。オルターでけっこう好評なのですが、これは「四国」時代紛れ込んだ品物です。ただ、お菓子についてあまりきびしすぎてレパートリーを狭くして、市販品や自然食業界よりはましな品物をただちにしめ出した方がよいか、企画会議でも迷っています。とりあえず、急きょドーナツミックスのオルター仕様の開発に着手しました。したがって暫定取扱品とします。
―文責 西川栄郎―