ウマイ(株)の国産小麦ラーメン
2000年5月3週号
ラーメンは日本人の好む代表的な食べ物の一つです。しかし、市販されているラーメンはまさに食の荒廃の権化ともいうべきもので、ラーメンばかり食べていた若者が健康を壊している例は珍しくありません。ウマイ(株)の馬居優さんは、安全なラーメン作りに悪戦苦闘されてきています。スープ作りにまだ課題を残していますが、麺は完成しています。
馬居優さん
そばなどの紹介
●ウマイ(株)深層水本場徳島そば
<麺の原料>
*国産小麦100%:鳥越製粉(ハルユタカ、ホロシリなど北海産小麦ブレンド)を主として使っています。輸入小麦に比べると蛋白質であるグルテン含有量が低く、こしを出すのに苦労しています。この粉でさえ供給が不安定なので、チホク小麦(吉原精粉)も一部使っています。
*海洋深層水:塩のかわりに、理想的な海洋深層水のみを使っています。
貝殻焼成カルシウム:麺のこしを強くするため、何らかのアルカリ剤が必要ですが、「かん水」のかわりに貝殻を高温で焼成してイオン化した貝殻焼成カルシウムを使っています。
<製造方法>
練って圧延し、切り出すだけ。一切の食品添加物を使っていません。
*スープの原料
残念ながら、オルター仕様ではありません。できれば各自でスープを手作り下さい。ラーメンのスープは近い将来オルター仕様のものを完成させたいと考えています。しかし、現状では「よりまし」なレベルのものしか手に入りません。ラーメンを食べるのに、いちいち本格的なスープを手作りしなければならないのでは、困る人が多いという意味で扱っています。暫定的な取扱いです。肉エキス(※)、動物性油脂(※)、食塩、本醸造醤油(※)、酵母エキス(※)、ねりごま(※)、香辛料、ピーナツバター(※)、海洋深層水。(※)印が問題ですが、これでもずいぶんと市販よりはましな材料を使っているのです。
●深層水生冷やし中華
<原料>
国産小麦100%(但しラーメンより配合グルテン含量は少なめになっています)、海洋深層水、貝殻焼成カルシウム。
<製造方法>
同上。
●深層水焼きそば
<原料>
国産小麦100%、海洋深層水、貝殻焼成カルシウム。
<製造方法>
練って圧延して切出したあと、ゆでています。一般では鉄板にこびりつかないように蒸している麺が多いのですが、ここでゆでているのは、限りなく全粒粉に近い粉(全粒粉の方がより力の強い)を使用しているため、雑菌が多いので、蒸すだけではムラが発生しやすく保存が心配だからです。食品添加物一切無添加です。
『かん水の話』
ラーメンの製造に使われてきたかん水とは、もともとは中国産の鉱物「唐あく」のことでしたが、重金属を含む恐れがあるので国内では禁止されています。このかん水の成分をもとに現在では中華製麺の製造に用いられるアルカリ剤のことをかん水と呼び、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムおよびリン酸類(ピロリン酸、ポリリン酸、メタリン酸など)のカリウム塩またはナトリウム塩のうち1種類以上を含む食品添加物のことです。かん水を使用するとアミノ酸と反応してリジノアラニンが生成する可能性があり、それには有毒性が心配されています。生協や自然食業界では差別化のために「無かん水」のラーメンが出回っています。
しかし①「無かん水」というために消費者の無知につけ込んでより危険な「唐あく」を使用していると謳っているものがあったりします。②玉子でも麺のこしを強くできるので、玉子使用を謳うものがあります。この玉子使用も後述のように問題があります。③スキムミルクも玉子と同様な理由で使いますが、充分なこしの強さを得るのが難しいのと、コスト高です。その原料乳の安全性(ポストハーベスト、遺伝子組換え、薬漬け畜産)も問題です。
ウマイ(株)では、当初はスキムミルクを苦労して使っていましたが、現在では貝殻焼成カルシウムを使ったラーメン作りをしています。これもアルカリ剤ですが、ラーメンの麺にこしの強さを求める以上、相対的に安全な原料と判断しています。
市販のラーメン、冷やし中華、ヤキソバなど中華めんの問題点
<麺>
原料はレルダン(クロルビリホスメチル)などポストハーベスト農薬のある輸入小麦。国産小麦は小麦蛋白量が少なく、通常メーカーでは使用しにくいからです。自然食業界のもので国産小麦使用と表示があっても、国産50%使用のものでもこの表示が認められているので要注意です。
でんぷん(アセチル化タピオカでんぷんなど…このタピオカデンプンにはシアン化合物が含まれています)、かんすい、唐あく(かんすいのことであり、表示そのものが法律違反です)、粉末卵白、全卵粉(玉子を使うため、サルモネラ菌対策など衛生管理上、24時間可動の機械でないと採算がとれません。薬品の助けなしではそのような工場は存在し得ません。また玉子のポストハーベスト農薬、遺伝子組換えや抗生物質、合成女性ホルモンなど薬漬生産も問題です。)、増粘多糖類(グアガム、キサンタンガム、CMC)、PH調整剤などが麺のこしを強くするために使われているのが一般的です。
酒粕(エチルアルコール)、ソルビット、プロピレングリコール(変異原物質)は保存料として使われます。
クチナシ色素は黄色く見せかけるために使われます。品質の悪い小麦粉(灰分の高い小麦粉)でも黄色く見せることができます。国産小麦の場合は幾分、くすんで見えます。
塩は公社塩、イオン交換塩を使っています。
<スープ>
=原料=
化学調味料(アミノ酸など)
L-グルタミン酸ナトリウムが主で、他にもイノシン酸ナトリウムをはじめ、グアニル酸ナトリウム、コハク酸ナトリウムなどの合成化学調味料をうまみ調味料として使っています。素材の品質が悪いものでも一見おいしく仕上げることができます。
グルタミン酸ナトリウムには、脳障害や胎児異常誘発などの毒性が知られています。また、中華料理症候群や痛風の原因にもなります。また、グルタミン酸の熱分解物には強い遺伝毒性を示すものが知られています。
蛋白加水分解物(人の毛髪などを塩酸などで加水分解して作っている)は発ガン性が問題となっています。
増粘多糖類などの食品添加物も問題。食塩もイオン交換塩です。
<その他>
動物性の原料由来のエキスや油脂の場合、畜産におけるエサの安全性、薬漬け畜産の問題があります。
醤油、食塩などの調味料にも粗悪なものが使われているのが一般的です。
<容器>カップラーメンなどの場合、そのポリスチレンなどのプラスチック容器からの環境ホルモンの溶出がたいへん問題となっています。とくに温かいお湯を注ぐのですから。
<インスタントラーメン(揚げ麺)の場合>
使用する油に、ポストハーベスト農薬、遺伝子組換え、n-ヘキサン抽出(精神病、心臓病、ガン)、酸化防止剤(BHA、BHTなど)、油の酸化など、問題だらけです。
―文責 西川栄郎―