土佐のいごっそうが作る ノンホモヨーグルト
2000年7月2週号
高知県土佐山田町の雪ヶ峰牧場の野村真一さんは、絵に描いたような土佐のいごっそう(いごっそうとは土佐の方言で、「誠実剛毅な気風」のニュアンスのある人物評です)。
酪農は昭和45年にお父さんが始められました。お父さんの忠喜さんは東京オリンピックを見て、なんで外国人は強いのかと考え、牛乳を生産することを始められたような人だったのです。人のために働く父を見て、真一さんもその志を継ぎたいと「そろばんより環境が大切」をモットーに、昭和62年以降、雪ヶ峰牧場の今日を築き上げられてきました。
雪ヶ峰は土佐山田市の山地にある100haにもおよぶ広さの牧場です。そこに西洋芝(バヒヤーグラス/Bacher Grass)を植え、いわゆる山地酪農(詳しくは近く予定している斉藤牧場の紹介のときに)を営まれているのです。牛はジャージー牛(非常に濃厚な乳を出す牛、但し乳量は少ないので高価。ヨーグルト作りに最高に適している)です。
ひまわり乳業が生産しているノンホモヨーグルトの原料乳はこの雪ヶ峰牧場のジャージー牛の牛乳なのです。
雪ヶ峰牧場
100haの牧場に、40頭のジャージー牛が24時間完全放牧されています。国内の酪農の最高峰というべき姿がそこにあります。
山地にはBacher Grass(西洋芝)が一面に育っています。牛のエサはほとんどが、この草だけです。その草の肥料としては、その牛たちが山で勝手にする排泄したものが主です。放牧されている牛は排泄物の上で育つ、一見青々とした草は食べません。なぜなら亜硝酸態窓素を多く含むために、苦くてまずいからなのでしょう。牛たちは自然のサイクルの中で、自分の気にいった草を食べているのです。
雪ヶ峰牧場放牧風景
少し補っている肥料は競馬場の馬糞(競走馬は繊維質たっぷりの良質なエサで飼育されており、通常の畜産のような有害な酪農飼料で育てたら病気になるため使えない)の堆肥です。通常日本の酪農は多頭化によって、狭い場所で多数頭を飼育しています。そのため牛の糞尿が多くて、その処理に困っているのが実情です。野村さんの場合、草を育てるのに糞が足りないとは逆に驚くような話なのです。それだけ牛がゆったりと育てられていることを示しているのです。
かなり十分な草が確保できているとはいえ、少々不足する時期もあり、ヘイキューブ(輸入乾燥牧草)や協同飼料の配合飼料(非遺伝子組換え飼料)を最小限に補っています。その配合飼料の量は、現在牛1頭1日あたり2kg程度です。(通常の酪農では輸入のポストハーベスト農薬や遺伝子組換えのある穀物などを何十kgも与えています。)
このように安全な酪農のお手本のような酪農がここに存在しているのです。「仕事が楽しくてたまらん」とおっしゃった野村さんの言葉が印象的でした。
デザートヨーグルトとして最高 - ひまわり乳業のノンホモヨーグルト -
<原料>
・雪ヶ峰牧場(野村真一さん)のジャージー牛乳生乳
・種子島甘蔗分蜜糖
通常はこれだけでヨーグルトを作っています。
但し、季節によっては注文が多く生乳が不足したときは、自社の生クリームと国産の脱脂粉乳を原料に足すこともあります。
<作り方>
調合タンクに原料を加え85℃10分間加温処理した後、冷却し、スターターとして乳酸菌を加え、発酵させます。粗悪な原料を使わないだけでなくもちろん、香料や増粘多糖類など食品添加物を一切使っていません。
市販のヨーグルトの問題点
世界の国々では牛乳として食べる文化よりも、ヨーグルトにして食べる民族の方が多いのです。そのヨーグルトは本来、牛乳を乳酸菌で発酵した非常にシンプルな食べものなのです。しかし、今日の日本のヨーグルトは薬品だらけのジャンクフード(がらくた食品)の代表的なものの一つです。ヨーグルトを健康によいと信じて食べている人が多いのに、そのメーカーの裏切り行為は目を覆うばかりです。
市販品で生乳100%のヨーグルトは皆無といって言い過ぎにはならないでしょう。ごく一部にさえ生乳を使っているものを探すのが難しいくらいです。たとえ牛乳を使っていても、その餌や飼い方を論ずるようにも、絶望的な低レベルのものです。
主たる原料は脱脂粉乳のような乳製品です(安いヨーロッパ産、放射能汚染が心配です)。この粗悪な乳製品さえ使わず、さらに安いココナツオイルのような植物性脂肪でごまかしているものも多いのです。使われる砂糖も遺伝子組換えが心配です。このような材料ではまともなヨーグルトができるわけがありませんので、ありとあらゆるごまかしが必要になります。粘り気は増粘多糖類(ペクチンは精製方法が心配、海藻抽出物カラーギナンは発ガン性が心配)、ゼラチン(原料になる豚が問題)、でんぷん(じゃがいもでんぷんは遺伝子組換えが心配)、乳化剤(合成界面活性剤)などでごまかしています。酸味は酸味料、ビタミンC(合成ビタミンで安全性が心配、遺伝子組換えとうもろこしが原料に使われています)で、さらに着色料、香料で色も香りもごまかしています。甘味は人工甘味料(パルスイートすなわちアスパルテームは脳障害)、オリゴ糖、ブドウ糖果糖液糖(遺伝子組換えとうもろこし)などを使います。
本来のヨーグルトから見ると、はるかにかけ離れた加工品となっているのです。またスーパー、コンビニなどで果肉入りのものが多く出回っていますが、それらの農薬やポストハーベスト農薬も問題だらけです。フルーツヨーグルトは、オルターの果物やオーミフローズンのフルーツフローズンなどで是非お手製がお勧めです。
―文責 西川栄郎―