小林精一さんの貴重な無農薬のぶどうです。

2000年8月4週号

 

創農舎小林農場の小林精一さんは、国内では非常に珍しく、無農薬でのぶどう作りをなさっておられます。小林さんが無農薬に取りくまれるようになったのは、日本有機農業研究会元幹事でもあり、横浜土を守る会の代表でもある唐沢とし子さんとの出会いがきっかけでした。その唐沢さんのおっしゃるには「小林さんのぶどう作りは日本一でしょう」とのことです。この御意見に全く同感です。
ぶどうの無農薬栽培が最初からうまくできたわけではありませんでした。唐沢さんの働きかけがあって、1976年に20aのぶどう園で無農薬栽培にチャレンジした初年度は、悲惨なものでした。雨による赤サビ病にかかり、葉は全部落葉し、ぶどう園は見る影もなく無残な姿に変容し、翌年は廃園となりました。

小林精一さん
 この経験にめげることなく、翌1977年には一緒の作業にしないと面倒だと、当時の全面積90a(現在は1.5ha)に雨よけビニールをかけ(側面は防虫網でおおい、風通しを良くしてあります)、雨からブドウの木を守ることにしました。また、良質の粘土と堆肥を基本とした土作りを続けてこられました。小林さんのお父さん小林宝治さんは、実は粘土農法で有名な方なのです。ぶどうの病気は雨を防げばほとんど防げることがわかりました。土作りと雨よけハウスで無農薬栽培の目途がついたのです。
 害虫は当初米酢、黒砂糖液などを使っていましたが、あまり効かず、大変苦労されましたが、無農薬栽培技術の進歩で最近は安全で良質の資材が手に入るようになり、今日のようなすばらしい無農薬のぶどう園となったのです。
 小林さんが今日まで何とか頑張り続けたのは、唐沢さんはじめ当初からお付合い頂き、強く励ましていただいた方々のおかげだとおっしゃっています。

創農舎 小林精一さんのぶどう
<品種>
デラウェア(8月20日頃~)
ピオーネ(9月10日頃~)
ロザリオビヤンコ(9月10日頃~)
ネオマスカット(9月10日頃~)
イタリア(9月20日頃~)
スチコーベン(9月20日頃~)
を主に栽培しておられます。その他ブラックオリンピア、セキレイ、ロザリオロッソ、カイン、アレキサンドリア、ルビオクヤマ、紅瑞宝なども作られています。
ぶどうセット(大粒ミックス)はブドウの生育状況をみながら、一番おいしい時期のぶどうを選んでセットします。ぶどうの品種は箱の横に丸印をつけて表示します。それぞれのぶどうの個性ある味わいをお楽しみ下さい。

【 作り方 】
通気性のよい斜面で、雨よけビニールハウスで病気を防いでいます。散水はせず、水は地下水だけです。ぶどうは乾燥地帯の作物だからです。 防虫は防虫網をまず利用しています。
その他「あざでらん」(南方系常緑樹「インドセンダン」の種子から絞った油+食品添加可能な乳化剤で加工したもの、草食性昆虫の発生抑制)、「木酢液」 「HB101」(忌避剤、ヒノキチオール、松、オオバコの発酵抽出液:害虫スリップスに対して有効)などを活用しています。
ぶどうの木の幹の根元に、防虫用の忌避剤「ガードペイント」を塗布しています。これは殺菌剤と生石灰をのり状にしたペンキ、表面忌避剤です。木への浸透性はないとされています。根から入るぶどう虫対策です。
肥料は良質粘土タフライト(サン・ラテール)で粘土農法を行っています。粘土の成分、ミネラルが過剰な窒素をコントロールするのです。また、アルカリに偏らせて、灰色カビやダニの嫌がる環境を作ります。肥料の使用も少なくできます。

<堆肥>
自家製無農薬の米ぬか、鶏糞、牛皮、また必要と思われたときは「ネオグリン」(微量要素)も使います。なお、デラウェアとピオーネについてはジベレリン処理をして、種なしにしています。種ありは劣化しやすく、すっぱくなるという理由ですが、ジベレリン処理は植物ホルモンで、厳密には農薬に入ります。

―文責 西川栄郎―

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