日本のふるさとの味、道長の手造り漬物
2000年10月2週号
石川豊久、貴架子御夫妻が漬物本舗道長を創業したのは、18年前の1982年でした。豊久さんはひげ面の笑顔の素敵な人。どこかフランス料理のシェフのような風貌の人です。サラリーマン時代もありましたが、子どもの頃から食べてきたおばあちゃんのぬか漬け、特にひね漬けのおいしかった味が忘れられず、とうとう、その好きな漬物作りを仕事にしてしまったのです。家庭の味しか知らなかったので、昨今の漬物加工メーカーのように機械や食品添加物を使う工業的な製法とは全く無縁で、漬物工場としては非常に珍しくほとんど全て手作業という驚くほど素朴な製造工程で漬物作りをされています。そのため、いい素材を使った、本来当り前の漬物を理想的な形で作ることが出来ていますし、やり過ぎと思えるほど、少量多品目の小回りをきかせておられます。
石川豊久さん、貴架子さん御夫妻
創業当時は引き売りのようなこともして苦労して販売を始められましたが、そのうち私たちの仲間の消費者団体と出会うなかで、出荷が安定しましたし、さらに無農薬の野菜や、より安心できる調味料を使うこともできるようになったのです。御夫妻は本当に研究熱心な方で、例えば漬物に合う、納得できる塩を捜すのに、良さそうな塩は全部試してみたというくらいなのです。そういった意味で、今後もますます良い漬物作りのためにいい素材、いい加工方法を追求されていくことでしょう。
伝統的日本食が忘れられている時代、薬品だらけの漬物ばかりの時代にあって、道長さんの漬物は日本人が忘れてはならない、心のふるさとそのものだと思えるのです。もとより、漬物くらいできるだけ家庭で手造りなさるようお薦めしています。道長さんの漬物は、オルターの材料を使えば家庭でも作れるような素朴なものです。しかし、この素朴な漬物がとても輝いて見えるのは時代のせいなのでしょうか。
野菜にも、調味料にも、加工方法にも、とことんこだわった道長の漬物
道長さんは、漬物が野菜に含まれる乳酸菌、こうじ菌、酵母菌を生かし、人間に大切な腸内細菌を供給する発酵食品であったことをよくご存知です。そのため、市販のような袋詰めの後に加熱して、その有用菌を殺すようなことを極力しないようにされています。原料となる野菜も自然のままの微生物が共存している無農薬や低農薬の野菜を使っておられるのです。野菜は地元音羽町で栽培したものをゆくゆくは使いたいと考えておられます。しかし現状では毎月30種にのぼる漬物を作るため、各地の有機農業の生産者と提携されています。
これらの野菜を使って、おいしい漬物にしたいと塩や調味料にもこだわってこられています。
味はいつも一定とは限りません
野菜や発酵は生き物です。したがって工業製品のようにいつも一定の味にできるとは限りません。この味の変化も手作りの味としてお楽しみください。
≪ 野菜 ≫
1,音羽の農業を考える会(愛知県音羽町)
鈴木慶市さん、岡田きよ子さん、小野博史さん
…白菜、大根、人参、玉ねぎ、なす、きゅうり、青うり(低農薬)
赤じそ、しその実(無農薬)
成瀬守さん…白菜、大根、かぶ(無農薬)
2,音羽米研究会(音羽町)
鈴木農生雄さん…米ぬか(低農薬:新鮮なうちに使用)
3,共同畑研究会(和歌山県那智勝浦町)
城正さん、平岡靖敏さん、蜷川勝彦さん、竹内秀豪さん、原和男さん
…梅(無農薬)
4,松沢政満さん(愛知県新城氏)…梅(無農薬)
5,河西忍さん(鳳来町)…梅(無農薬)
6,横地愛菜園(渥美半島)
横地幸雄さん…粕漬用のセロリ、摘果メロン(低農薬)
7,天野グループ(安城町)
天野道子さん、天野ナエ子さん、天野たき子さん
…白菜、大根、らっきょう(低農薬)
8,J2農場、児山弥香さん(愛知県下山村)
…大根(無農薬)
9,水の子会(熊本県八代郡)
…しょうが(低農薬)
大根、レモン(無農薬)
10,八ヶ岳ガンコ村
横森正樹さん…白菜(低農薬)
11,外山輝司さん(静岡県三ヶ月町)…レモン、ゆず(低農薬)
12,矢矧農園(長野県飯田市)
松村隆平さん…リンゴ(低農薬)
13,太田清さん(蒲郡市)…レモン、大根、白菜(低農薬)
14,市川靖雄さん(一宮町)…人参、なす(低農薬)
15,丸協フードサービス…割干大根(低農薬)
16,グリーンネットワーク(長野県阿南町)
…きゅうり(飯田市、大島さんなど)、白菜、大根、人参、小梅、野沢菜(低農薬)
17,道長自家製…しそ、しその実(無農薬)
18,鈴木博司さん(愛知県知多町)…きゅうり(無農薬)
19,武井農園(群馬県富岡市)…しょうが(低農薬)
20,長山満夫さん(高知県土佐市)…しょうが(低農薬)
21,小久保芳男さん…大根(低農薬)
22,茨城カルゲン会(茨城県猿島郡)…白菜(低農薬)
23,南高青果(長崎県島原)…白菜(低農薬)
≪ 調味料 ≫
A,塩:「海水の素」(中国福建省の天日塩、非加熱)
B,砂糖:「種子島甘蔗分蜜糖」(カタログ2000年4月第1週参照)
C,醤油:角藤・永田醸造の「本たまり」
(愛知県産大豆100%とあらびき天日塩の豆みそたまり…アルコールなど一切
無添加、非加熱。醤油の2倍の大豆を使った「たまり醤油」)
D,白醤油:日東醸造「白たまり」(カタログ1999年5月第3週参照)
E,みりん:相生みりん「本みりん」
(佐賀県産もち米、みりん用粕とり焼酎、米こうじのみ)
F,米酢:内堀醸造「OCIA純米酢」(酒作り、酢作り、熟成まで一貫生産)
OCIA認定米を多段仕込。塩は公社塩。
G,リンゴ酢:内堀醸造「純リンゴ酢」(業務用)
アメリカ、ワシントン州農務局認定のオーガニックリンゴ果汁からアッ
プルワインを作り、それを酢に醸造したもの。塩は公社塩。
H,酒粕:関谷醸造(大吟醸の酒粕)
酒米は国内産、山田錦、夢山水、千代錦、五百万石。
I,麦こうじ:兵藤麹店、岡崎産麦
J,豆こうじ:兵藤麹店、岡崎産大豆
K,梅酢:道長自家製
佐々木農園の梅(低農薬)
<野菜>
1,音羽の農業を考える会
2,音羽米研究会
3,共同畑研究会
4,松沢政満さん
5,河西忍さん
6,横地愛菜園
7,天野グループ
8,J2農場、児山弥香さん
9,水の子会
10,八ヶ岳ガンコ村
11,外山輝司さん
12,矢矧農園
13,太田清さん
14,市川靖雄さん
15,丸協フードサービス
16,グリーンネットワーク
17,道長自家製
18,鈴木博司さん
19,武井農園
20,長山満夫さん
21,小久保芳男さん
22,茨城カルゲン会
23,南高青果
<調味料>
A,塩:「海水の素」
B,砂糖:「種子島甘蔗分蜜糖」
C,醤油:角藤・永田醸造の「本たまり」
D,白醤油:日東醸造「白たまり」
E,みりん:相生みりん「本みりん」
F,米酢:内堀醸造「OCIA純米酢」
G,リンゴ酢:内堀醸造「純リンゴ酢」
H,酒粕:関谷醸造
I,麦こうじ:兵藤麹店、岡崎産麦
J,豆こうじ:兵藤麹店、岡崎産大豆
K,梅酢
市販の漬物の問題点
漬物の原料の野菜はその多くが中国などから塩蔵の状態で輸入されています。この段階で農薬や合成保存料の使用の疑いがあります。そんな塩蔵を塩抜きすれば、本来の風味は全て抜けてしまいます。あとは合成調味料で味付けするしかありません。塩、砂糖、醤油、みりん、酢など調味料も粗悪なものしか使っていません。
また、以下のような食品添加物を使っています。
・調味料
アミノ酸系調味料、グルタミン酸ソーダー(脳障害)
サッカリンナトリウム、ステビア(催奇形性)
甘草、乳酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸(いずれも原料、精製工程が心配)
・着色料・発色剤
黄色4号、赤色102、106、β-カロチン、緑色3号ほか。
・糊料・増粘多糖類
キサンタンガム、ポリアクリル酸ナトリウム
・防腐剤・酸化防止剤
ビタミンC、ソルビン酸
また、加工においては、加熱処理を行い、有用菌も死滅させてしまい、発酵食品とはいえなくなっています。
―文責 西川栄郎―