想像を越えた味と香り、オキノのオーがニック珈琲
2000年10月3週号
オーガニック(無農薬有機栽培)の珈琲豆だけを専門に焙煎している(株)オキノは現在の日本で最もオーガニック珈琲豆をたくさん輸入している会社です。沖野洋社長は「年々購入量を増やしてきたら、栽培する現地の農民の生活向上に役立っていることに気がついた。子どもたちのより明るい笑顔に出会えることがロマンです。今や自分のやるべきことは珈琲であり、この珈琲を通して社会貢献できると信じています」とおっしゃっています。 沖野社長は、一般の珈琲業界で約15年間勤められ、その加工や流通のみならず、中南米での栽培の現地視察などの経験も積んでこられました。オーガニックを扱うきっかけは、オルターと取引きのある流通会社「黒怒」の佐野正則社長との出会いでした。そして、今やオーガニック珈琲の文字通り第一人者といえる存在になっていらっしゃいます。
文句なしの本物へのこだわりオキノのオーガニック珈琲
≪原産国≫
★グアテマラ
(Casillas,Guatemala)
品種:SHB 等級:ストリクトリ ハイ グロウン
すぐれた酸味、香り高い。
★メキシコ
(Chiapas,Mexico)
品種:ALTURA 等級:アルチュラ
酸味に特徴、ボディー弱い、線細い
★ペルー
(Cuzco,Peru)
等級:高品質
特徴なく、抜けた味
★エルサルバドル
(Usulutan,Elsalvador)
品種:SHG 等級:ハイ グロウン
香りがグアテマラほどでないが、
よい香り。バランスよい。
★東チモール
(East Timor,Indonesia)
品種:Mid Aifu 等級:マウペッセ
酸み、苦み強い
以上の地域から最高の品種の豆をさらに選ばれます。殺虫剤、殺菌剤、除草剤などを3年以上使っていない農場で、100%有機農法で作られています。使用される有機肥料はコーヒーパルプ堆肥、鶏ふん、さとうきび搾りかす、枯れ草などです。全てアメリカの認証団体OCIAのオーガニック認証あり。もちろん、ポストハーベスト農薬の使用はありません。
輸入時に虫や異臭などが発見されれば、検疫上の燻蒸を指示されることになります。オキノでは、過去1回だけ燻蒸させられたことがありましたが、一般の市場流通へさばかれました。ブラジル、コロンビア、ケニア、エクアドル、パプアニューギニアなどからは値段の高いわりに品質が劣るので、輸入しないことにされています。
焙煎工場は全てオーガニックを扱っており、他の豆が混入することはありません。また、生豆中に混入している異物(枝、板、石、からからに乾いた実…など)、及び死豆、未成熟豆などを述べ3回に及ぶ手作業で取り除いています。
一般の珈琲の問題点
生産段階では、農薬の圃場での大量使用。さらにポストハーベスト農薬。元大阪大学理学部の中南元先生の分析では、かつて28種くらいの農薬が検出されています。
ブルマン、キリマンジャロなどの銘柄品に見せかけていても、そのほとんどがニセモノ。安い材料をいかに高く売りつけるかの奇々怪々の世界。
さらに大型機械を使った大量生産、そしてすっかり酸敗した有害といわざるをえないような流通。
詳しくはカタログ1999年5月第1週18号を参照ください。
<焙煎と粉砕方法>
≪焙煎方法≫
良い豆でも、それを生かすのは焙煎の技術です。通常の2~3倍の手間と時間がかかりますが、より良い味を求めて「2度焙煎」をされています。生豆を一度焙煎し、ある程度水分を飛ばします。そうすることで酸味のないすっきりとした珈琲になります。さらに、次は時間をかけて、じっくりと2度目の焙煎をします。これによって珈琲特有の渋味を押さえ、まろやかで、香りの高い本格的な味に仕上げているのです。
生豆は品種により、その特性も異なるため、焙煎温度、時間も変えなければなりません。煎った豆が膨れているのがよいのです。しわだらけでは良くないのです。そこで、品種ごとに焙煎し、「アフターミックス」されているのです。このアフターミックスは加工の大切なこだわりです。
≪粉砕方法≫
珈琲を粉にひく場合、粉の粒子の表面積が少ない方が良いのです。そこで「グラインド方式」を選択されています。グラインド方式とはネジ式で、だんだん細かく砕いていくという方式です。また珈琲を粉にする時、熱が発生すると香りを損いますので、時々粉砕中に休みながら粉にしています。グラインド方式は、鋭角の刃で切っていく「カッティング方式」(きれいな微粉末に見えますが、表面積が大きくなる)や「プロペラ方式}(表面積が一番大きく最悪な方式)より優れています。この粉砕工程の最後で、さらにおいしさを追求して、珈琲豆を覆っているシルバースキン(銀皮)の部分を除去されているのです。
【 新鮮さにこだわって、焙煎当日の製品化および即日出荷 】
珈琲はカタログ1999年5月第1週18号でご紹介したように、数日で酸敗する性質を持っています。また、焙煎したら、その直後から炭酸ガスの放出が始まります。この炭酸ガスが多く出ている時こそ、香りが良くおいしいのです。炭酸ガスが出尽くすと、酸化して味も香りも悪くなります。
抽出する際、お湯をかけて膨らませるのが良いのです。したがって焙煎したら、できるだけ早く消費者の手元に届ける必要があります。だからオキノでは在庫を置かず、全て受注後の生産となります。まず各品種単品ごとの2度焙煎を行い、ブレンド(アフターミックス)後、豆および粉を、袋が膨らまない程度に炭酸ガスを保ちつつ、また外気の侵入を断ち、酸化を防いで長時間鮮度を保持する新バルブ袋を採用しています。こうして、焙煎した当日に製品化し、全量即日出荷という態勢をとっておられます。日付は焙煎日で、袋詰め日ではありません。
さらに、オキノでは夏場は「冷蔵扱い」です。賞味期限は6ヶ月とされています。また、美味しく飲める期間は
粉:常温1週間、5℃ 2週間 豆:常温 1ヶ月、冷蔵 2ヶ月
とされていますが、オルターとしては酸敗のことを考えると両方とも届いてから冷蔵していただいて、1~2週間程度の利用が望ましいと考えています。
―文責 西川栄郎―