人と自然にやさしい自然塗料の最先端 アウロ社

2000年12月3週号

 

通常、塗料には中毒性のある有機溶剤、発ガン性、催奇形性、環境ホルモン作用のある可塑剤や防虫防腐剤など多種多様な石油系化学薬品が使われており、そのためシックハウス症候群、化学薬品過敏症の原因や、その廃棄物による環境汚染を招いています。
 ドイツでは、1970年代にこのことが問題化され、その世論を背景として、人体に対する安全性の高い原料を使って、使用後は分解され土に還る、環境にやさしい自然塗料がエコロジー建築、健康住宅の建材として開発されました。自然志向のいくつかの会社の中でも、アウロ植物化学(株)は一番信頼されている会社です。アウロ社はヨーロッパ、バイオダイナミック有機農法の創始者であり、教育学者であるルドルフ・シュタイナーの人智学に基づき、「食住同源」の思想の視点で「製品の原料は廃棄された後も、環境に負荷を与えない」ことをモットーにし、石油系製品に頼らず、エコロジカルな素材、製法だけで人と環境にやさしい「ソフトな化学製品」を実践しています。そして、世界自然保護基金(WWF)の「エコマネージャー賞」を始め数々の環境賞を受賞しました。

 アウロ社の日本総代理店はエコリビング社(加藤道生代表)です。元製薬会社の研究部門にいたこともあり、環境問題にも関心のあった加藤さんは、阪神大震災のあと廃材を大量に焼却した際、ダイオキシンを含む有害な煙が被災地を覆ったとき、石油系の建材、塗料、接着剤に大いに疑問を抱き、自然塗料を求めてドイツに渡り、過去幾人かの日本人が成功しなかった、アウロ社の日本代理店の権利を1995年に獲得されました。加藤さんがドイツに約20社ある自然系の会社の中から、とくにアウロ社を選んだのは、「原料の全てを安全性の高い天然素材だけで行っているのはアウロ社だけ」だったからで、安全性、自然度、環境負荷、消費者支援、経済性において一番優れていたからです。

アウロ社の自然塗料、ワックス、接着剤
 アウロ商品の原材料および配合目的は右表に示しています。これらの原料は世界中の民族が伝統的に使ってきた安全性の高い自然物質です。例えば、塗料の結合材は、ドイツで自社栽培したり、オーストリアで契約して無農薬有機栽培している亜麻仁油、あるいは熱帯のスマトラで反復採取できるダンマル樹脂(フタバガキ科の樹液)溶剤にはオレンジ精油であるD-リモネン、ユーカリ油、ポルトガル桧の精油、色素には藍やセイヨウアカネの根などを使い、その他ケイ酸土やホウ砂などの無機物を主な原料として、塗料、ワックス、接着剤などを生産しています。顔料、結合材、溶剤、添加物から石油系合成物質を徹底的に排除しています。重金属、漂白剤も使用しません。
 さらに、ダンマル樹脂の契約では、スマトラの人々の生活の長期保護に配慮し、ココナツヤシはブラジル農民の福祉活動を支援しています。カルナバ蝋(カルナバヤシの実)の契約では、ヤシを全部とらない指導もしています。
 企業の透明性を大切にし、原料の全成分や製造工程など全ての情報を公開し、工業から出す排水や廃棄物、容器などのリユース、リサイクルを徹底しています。
 環境に配慮すれば性能面では劣ると思われがちですが、商品テスト協会の評価は「優良」であり、品質面でも優れています。製品は人や環境にやさしいことはもちろんのこと、天然素材だから、静電気を帯びず、人にストレスを与えたりしません。ホコリも付着しにくく、再塗装も容易。合成塗料のような不快な人工臭もなく、快適な香り。ワックスでは石油系のように木の呼吸を妨げることなく、木に必要な湿度と油分を与えます。それに、意外なことに市販品のようには手間もかからず、価格もむしろ安いのです。

市販の塗料、ワックス、接着剤の問題点
 市販の石油系塗料は、①重金属(鉛、クロム)を含む顔料、②石油系溶剤…トルエン、キシレン、イソパラフィン、ミネラルスピリットなど③防虫防腐剤…PCP、BHC、ペルメスリン、ジクロロフルアニド④添加物ホルマリンや環境ホルモンとして知られているビスフェノールAなど、いずれも有害な化学薬品だらけです。環境にやさしいを謳い文句にしている水性ペイントのようなニュー合成塗料にも水素系アクリル樹脂を始め、ホルムアルデヒド、N-メチロール-クロロアセトミド、イソチアゾリン化合物、アゾ染料など人に有害で、環境負荷も大きいものが多様に使われています。日本でも最近脚光を浴びている自然素材を用いた建材にも、接着成分、溶剤、防腐剤には石油系が使われていることが多い。またオレンジ精油リモネンを少し加えただけで天然を装うものもあります
 ドイツではイソパラフィン(イソアリファーテ)やマイクロワックス(石油系)、合成顔料を使ったものは自然塗料と称することは許されず、擬自然塗料として区別されています。日本ではリボス社のようにイソパラフィンを使ったものでも、健康塗料、無公害塗料と称して、売られていますので要注意です。

●AURO商品の原材料および配合目的●
原材料と由来および配合目的…右記表参照

―文責 西川栄郎―

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