サラダ用に最適な亜麻仁油、新登場です

1999年1月3週号

 

「子供の脳の成長によいと推められた亜麻仁油」をオルターで取扱って欲しいとのお便りを会員より頂きました。亜麻仁油は欧米では大変注目されている油ですが、日本国内ではペンキ用溶剤の油ぐらいしか知られていないものです。
 亜麻仁油(フラックス・シードオイル)とは「麻の繊維」がとれる植物、亜麻の種の油です。西暦紀元前5000年にはバビロンで栽培されていた記録があり、古代インドの経典でも最高の状態の心の安らぎとよろこびを達するために、ヨガの行者が食していたものです。あのマハトマ・ガンジーも「亜麻を日常食べるようになったところは、どこもみな健康状態が良くなっている」と語っています。
 亜麻仁油にはα-リノレン酸(EPAやDHAの類似成分)が成分の58%も含まれており、最近欧米の医学・栄養学の分野でにわかに注目を集めてきています。臨床栄養学の世界的権威、アメリカのジョナサン・ライト医博は「私の全ての患者に加熱調理にはオリーブ油を、サラダには亜麻仁油を使うように推めています。亜麻仁油が良いのは不飽和脂肪酸比率(n-3系:n-6系=5:3)が理想的。現代人のこわれている必須脂肪酸バランスを良くしてくれるので、喘息やアトピー性皮膚炎を始め、多くの疾患の改善につながります。現代人は脂肪酸バランスが悪いために心臓病、血管血液疾患、癌、痛風、胆石、糖尿病、高血圧、免疫力低下に陥っている。」といっています。また、1997年カナダ・モントリオールの第16回国際栄養会議に先立って行われたPalais des Congresにおいて“Flaxseed in Human Nutrition”に関するシンポジウムにおいて「亜麻仁油の中に含まれるn-3系α-リノレン酸はとくに、乳児の必須脂肪酸の不足を補い、網膜及び脳の発育を促し、成人の冠状動脈性心疾患、卒中発作及び、ある種の癌(乳癌、大腸癌、前立腺癌など)の予防に役立ち、また高血圧、リューマチ性関節炎、自己免疫疾患、アトピー性湿疹に有用である」と報告されました。
 もとより、魚、豆類、穀類、野菜、海藻から主たる脂肪酸をとる伝統食を食べている人は、すでに優れた脂肪酸バランスをとっていることになります。しかし、動物性脂肪に偏った現代人にはn-3系α-リノレン酸が脂肪バランスの改善に役立つことも事実です。
 この脂肪バランスの考え方からとくに体に悪い成分をもつ油としてマーガリン、ショートニングがあげられています。これらの油は主成分が有害であるだけでなく、その製造工程中幾多の薬品汚染もあるのです。またn-ヘキサン抽出後、化学薬品処理を施された市販の天ぷら油やサラダ油のような精製油も非常に問題です。
オルターでは天ぷら油として影山さんのなたね油(青森産なたね、圧搾一番搾り)、小豆島ヤマヒサのオリーブ油を、サラダ用としては北海道JA北竜のひまわり油と今回ご紹介の亜麻仁油をお推めします。

カナダ・フローラ社の亜麻仁油
もとより亜麻仁油であれば何でも良いということではありません。ペンキ溶剤用の粗悪なものもあり、プラスチックボトルに入っているものもあります。カナダ・フローラ社の亜麻仁油は以下の様に世界中で最も良心的な食用亜麻仁油です。

・原料の亜麻の種は有機栽培(QAI/Quality Assurance Internationalの認定)そのオーガニックの種をさらに選別し、よく稔った種のみを原料にしている。農薬ほか一切の化学薬品を加えていない。
・その種を一度だけ生のまま圧搾搾り。摩擦熱でも40℃以上にならないように少量ずつ低温搾り。非常に酸化しやすいため、光、熱、酸素に触れない厳しい品質管理を実施している。空気と光を遮断するシステム(ステンレススチールの窒素ガス密封容器を使用)。加熱、精製、漂白工程や化学溶剤を一切使わない。
・圧搾した油は静置約48時間で分離している徹底ぶり。
・容器は環境ホルモンなど成分が溶け出すのでプラスチックを使わず、褐色のガラスビン入り。空気に触れないよう窒素充てん。
こうしてナッツのような軽い、良い匂いの亜麻仁油に出来上がっています。

◇ 食用亜麻仁油の保存-加熱処理に使えません ◇
亜麻仁油のα-リノレン酸は、例えば紅花油に含まれているリノール油と比べると酸化の早さは5倍。したがって加熱調理につかうべきではありません。容器に入った状態でも酸化するので、流通は冷凍が望ましく、光、空気、熱をゼロに近づける方がいい。搾った後、冷凍なら1年、冷蔵なら5ヵ月、冷蔵でも開封後は1ヵ月以内の消費が望ましい。

おすすめ
・皮膚のかさかさに
肌が乾燥して薄くはがれたり、かたくなっているとき、洗剤などで油気がとれ手が荒れているとき亜麻仁油は簡単に吸収される。すべすべしたベルベッドのような輝いた肌になる。他の油ではこうはいかない。また母乳(8%以上を必須脂肪酸が占めている)をやめたとき体のあちこちに湿疹のようなものが出る赤ちゃんに手首にすり込んでやると症状が軽くなる。

・肥満を防ぐ
減らさなければいけないのは飽和脂肪酸です。サラダに亜麻仁油を加えると消化に時間がかかり、食後空腹感が抑えられる。また代謝の能率を高めるので、過剰の飽和脂肪酸を燃やす助けとなる。また料理に使うと満足感が得られ、過食を防ぐ。(食事に必須脂肪酸が欠けている場合は、満腹感はあっても満足感が得にくい)

亜麻仁油は熱を加えずにこのまま、または、調理後の食べ物(みそ汁など)に加えてお召し上がり下さい。その他ヨーグルト、牛乳などに加えたり、サラダドレッシングの材料としてお使い下さい。

●サラダドレッシング
テーブルスプーン4杯の亜麻仁油、テーブルスプーン2杯のレモンジュースを滑らかになるまでよく混ぜ、ディルまたはバジルなどのハーブ、さらにお好みで調味料を加えます。このほかに、テーブルスプーン2杯のヨーグルト、テーブルスプーン1杯のチェダーチーズ、テーブルスプーン1杯の蜂蜜を入れても美味しくいただけます。
●クラッカーのスプレッド
500mlのクリームチーズ、42mlの亜麻仁油と刻みネギ、お好みでカイエンペッパーをよく混ぜ、これを小さいライスクラッカーまたは油脂を使用していないクラッカーに塗ります。

●デザート
テーブルスプーン2杯の亜麻仁油に250mlのヨーグルトを混ぜます。これに刻んだ季節の果物、スライスアーモンド、バニラエッセンス数滴を加え、シナモンパウダーを振りかけます。甘味を出すときは蜂蜜やメープルシロップを加えます。

●その他の使い方
現在お使いのバターの代わりに、またはバターと半々に混ぜて亜麻仁油をお使い下さい。べイクドポテトにもお試し下さい。朝のオートミールにテーブルスプーン1杯を加えたり、健康的な朝食用の“シェイク”にテーブルスプーン1杯の亜麻仁油を入れるのも良いでしょう。またキャセロールや野菜、パスタなどの料理にもお使い頂けます。

亜麻仁油の参考文献
※お推め順位 
☆3冊共是非お読み下さい!

①「危険な油が病気を起こしている」
 J・フィネガン博士著、今村光一訳(中央アート出版社)
②「図解豊さの栄養学2、健康の鍵・脂肪は正しくとろう」
 丸元淑生・康男著(新潮文庫)
③「奇跡の食品」
 ジーン・カーバー著、丸元淑生訳(角川春樹事務所)

文責: 西川栄郎

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