虫歯になる今の黒砂糖と ならない昔の黒砂糖

1999年2月2週号

 

奄美島おこし生産グループ、(株)倉源の島おこしの夢をのせた品物たち
奄美大島宇検村の黒砂糖の生産者塩本哲哉氏との出会いは、石垣島白保のサンゴ礁が空港問題で埋め立てられようとしていた問題で琉球孤の市民運動が盛り上がっていた最中のことでした。奄美や沖縄は日本列島改造論に象徴される巨大開発の波(核再処理工場、巨大石油コンビナート、巨大リゾート開発・・・)にさらされ続けており、それに対抗していくためには無農薬などの農作物などでの島おこしとそれにつながる人のネットワークがどうしても必要だと考えたお一人です。当時、こうした考え方で、石垣島のもずく、徳之島のじゃがいも、バナナなど次々とお付き合いを始めていました。とくに島バナナの復活の取り組みをきっかけに1986年実施の全国の市民運動の洋上サミット「ばななぼうと」(オルター大阪代表西川栄郎が実行委員長)は日本の消費者運動に様々な影響を与え、奄美カレーの開発(この志はグリム食研の奄美カレーに引き継がれています)もこれをきっかけに生まれました。この塩本氏との提携は現在奄美島おこし生産グループ(株)倉源(塩本哲哉社長)としてお付き合いを続け、黒砂糖「野茶坊黒糖」、黒糖きび酢「愛加那酢」、奄美うこん(ターメリック)、モンキーバナナ、奄美タンカン、パイナップル、パッションフルーツ、奄美プラムなどを扱っています。(フルーツ類は次号で御紹介します)

生産グループ世話係代表(幻のリュウキュウアイの研究家としても知られています。大島紬のほしい方は御紹介も可能です)
虫歯になる今の黒砂糖
 本来はカルシウムが豊富な黒砂糖を食べても虫歯になることはなかったのです。しかし今の黒砂糖は虫歯になるのが珍しくありません。なぜなら外国から安く入る粗糖を精製した安い白砂糖で増量し、さらにカラメル着色して黒くみせているからです。この白砂糖増量以外にも黒砂糖にはいろいろと問題があります。古くなった黒砂糖を新物に戻して炊く、炊き直しもあります。また真黒になっている黒砂糖は、化学肥料を多投して作ったキビ(糖度が低く、亜硫酸塩などのあくが多い)の汁は炊き上げるのに時間が長くかかるため、カラメル化して黒くなっているのです。良質の黒砂糖は真黒でなく「淡い黄緑色」か「淡い茶褐色」になるはずなのです。

野茶坊黒糖(奄美黒砂糖)
 製糖は生産グループの会員田袋良仁さん(徳之島のカネタ製糖)が行っています。さとうきびは生産グループの指導で発芽のとき少量の化学肥料を使うだけで、チチンパック(さとうきびの害虫)に対する殺虫剤や除草剤も使わずに作っています。但し周辺に農薬をヘリコプターで空中散布しているところがありますので、その飛散の可能性を否定できないため、無農薬とは唱えないとオルターでは判断しています。極力化学肥料を使わないことによって糖度の高いさとうきび汁が得られ、製造工程上良質なものが得られ、もちろん健康にもよいのです。この黒砂糖の工程は、さとうきびを搾った汁を煮詰めただけの本当に簡単なものです。アイスコーヒーやぜんざいに向いています。

愛加那酢(黒糖きび酢)
 黒砂糖の液を、つぼに入れて長期間放置して酢酸発酵させ、お酢にしたものです。独特の切れ味のするさっぱりとしたお酢で、通常の米酢、玄米酢と同じようにいろんな料理のバラエティーとしてお使い下さい。

奄美ウコン(ターメリック) (無農薬)
 ウコンは原産地インド、生姜の仲間の植物です。ウコンは古来高貴な人の着る草木染(黄色)の色素として金と同じ価格で取り引きされた歴史があります。また香辛料ターメリックとしてカレーやたくあんの黄色色素としても有名です。倉源のウコンはオルターで扱っている奄美カレーの原料にも使っています。またウコンはインド、インドネシアでは古くから薬用とされ、のちに漢方薬としても利用され、芳香性苦味健胃薬、利胆薬(黄タン、胆石)として胆炎、胆道炎、カタル性黄疸、生理不順などに内用し、痔疾、創傷に外用します。

ウコン
 近年、肝臓機能強化作用が知られ、新薬としても開発されています。そのまま飲むと、多少苦味がありますが、昨今テレビなどでその効用が話題になり、愛用家が増えています。塩本氏御自身も、もともと製薬会社の研究職でお体をこわされ、島にもどられたとき、自分の体のためにウコンを栽培されたのが、栽培の始まりでした。
利用方法:煮物、カレーライスに添加。漬物の着色。ウコン茶(お湯に入れて)、ウコン酒(焼酎に入れて)として。

―文責 西川栄郎―

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