オルター仕様のすごくおいしい アイスキャンデーできました
1999年6月4週号
これまで、アイスキャンデーとアイスクリームに関しては100%オルター仕様になっていませんでした。この度(株)ネージュの稲田洋一さん(商品開発担当)との出会いがあり、全面的にオルターの考え方で製品化していただくことが決まりました。今回は「ミルクキャンデー」と「小豆キャンデー」の2種類を御紹介しますが、今後は他のアイスキャンデーの品目やアイスクリームなど次々に開発していく予定です。なにしろ個々のアイテムのロットが非常に大きいため、他団体にも協力を求めながらの開発となります。
商品開発担当 稲田洋一さん(左)森理江子さん(右)
(株)ネージュのアイスキャンデーの特長
①アイスキャンデーとしては全国で初めてのオルターレベルの安全な材料ばかりで作ります。通常は粗悪な安い材料を使っているものばかりで、まずい上に有害です。無添加を唱うものでも、個々の材料のキャリーオーバーの添加物や原材料の遺伝子組み換え作物やポストハーベスト農薬、放射能汚染まで考慮したものはありません。このアイスキャンデーは生産者から消費者まで最高の管理をすることで、食品添加物を一切使用しないだけでなく、原料としては考えられる限り最良のものを選択しています。
●ミルクキャンデーの原料
・よつ葉ノンホモ牛乳
・よつ葉濃縮乳
・ビート糖・水
これ以外は一切使用していません
●小豆キャンデーの原材料
・あん(富士製餡)・ビート糖・赤穂の天塩・水
これ以外は一切使用していません
※あんの材料:北海道浦幌産減農薬小豆(選別を2回して異物をなくしている)、砂糖(種子島甘蔗分蜜糖、使用している水は紀ノ川の支流の最上流の湧水
次亜塩素酸ソーダー、重曹、水飴(遺伝子組み換え)、ソルビン酸、着色料など一切使用していません。このあんの製造工程においても、小豆の風味、香り、味を損わない炊き方を工夫しています。
「おいしい物をつくって、消費者に食べてもらって喜んでもらう」
アイスクリーム業界もコンビニやスーパーなど小売業の力が強く、値引きや協力金等を取られて収益の悪化に悩んでいます。その為に、原価特に原材料単価は、非常に低くなっています。原材料単価が定価の1割以下という製品もあります。原材料単価を安くおさえる為に水増しし、薄くなったミックスに着色料で色を着け、香料で香りを足し、安定剤、乳化剤でボディを作っているのが今の市販品のアイスキャンデーです。大手メーカーの言う品質とは、成分値にズレがない事、細菌数が一定値以下である事、色、形、重量など見た目が一定で見栄えのよい事、異物のない事等、要するに規格にいかに忠実に作られているかという事で、工業製品と同じです。「おいしい物をつくって、消費者に食べてもらって喜んでもらう」という食べ物を作る原点がポッカリ抜けているように思います。
今回のアイスキャンデーの特に原材料の調合作業においては、今までの設備はあまり役に立ちません。人手に頼る部分も多く、作業時間も従来の方法に比べれば、かなりかかります。でも、出来た物を食べると自然な味でおいしい。原材料を何かするというのではなしに、逆に何もしない。良い原材料の味をそのまま残すという事が、効率重視の今の生産ラインでは、逆に作業に時間がかかってしまうという事に複雑な思いをしています。本当に消費者がおいしいと思うもの、作り手がおいしいと思うものを作りたい。お客様の顔が見える職場であり、会社でありたい。
一般のアイスキャンデーの問題
・原料が粗悪なものが多い
コスト優先になれば、当然原料も安かろう、悪かろうとなります。例えば乳製品は当然安い輸入物が主体、放射能汚染も心配、牛のエサや飼い方など検討されていません。当然「パスチャライズ」「ノンホモ」などの配慮もありません。「あん」の場合なら、小豆を使っていないこもあり、中国産小豆または他の安い豆を使います。あんは腐りやすい為、次亜塩素酸ソーダーなど消毒剤で洗浄してから炊いています。防腐剤(ソルビン酸)や軟化剤(重曹)も添加します。砂糖にこだわることもありません。水飴(遺伝子組み換え)を使用するのも一般的。果汁を使う時に「無農薬」や「有機栽培」に真面目に取り組むこともありません。別原料の植物油(遺伝子組み換え、ポストハーベスト農薬、n-ヘキサン抽出、キャリーオーバーの添加物)なども問題だらけです。
・食品添加物の使用
複雑な流通のことを考えれば、形がくずれたりしない様、まず安定剤は必ず使っています。また乳化剤や合成着香料、合成着色料などです。大手メーカーでは、これらの排除はほとんど不可能です。
・原料の風味、味を大切にしない製造工程
一般には原料の味を生かす程、良い原料も使われていませんが、加熱条件など原料の良さを損わない配慮が行き届いていません。これらは乳製品を原料としている場合、特に問題となります。
―文責 西川栄郎―