家庭内農薬に気をつけましょう
1998年6月3週号
電子蚊取器は農薬を浸み込ませたマットから電熱器の熱で蒸発させ、蚊を殺す道具です。コンセントに差しておけば一夏中農薬が蒸発し続けるノンマットも最近よく使われます。これらの農薬は毒性の強い有機リン系のものです。
また、蚊取り線香も、昔のような除虫菊のものは市場では全く姿を消して、ピレスロイド系の農薬です。その人体毒性は悪心、おう吐、下痢、頭痛、耳鳴り、呼吸障害、皮膚炎、気管支ぜん息、鼻炎、結膜炎などが知られています。
こういう農薬をアルミサッシで閉め切ったクーラーの部屋で漂わせて生活する人々に、熱もないのに夏カゼのような症状が一夏中続いていることがあります。まさに、化学薬品過敏症、農薬中毒なのです。
蚊に対抗するためには、就寝中は蚊帳、通常は網戸、家の中に侵入してきた蚊は、補虫網(柄を短くしておけば、ふり回しやすい)などをお推めします。
農薬は掃除機のカートリッジの袋(ダニ用に農薬を使用)、抗菌加工した畳、たんすの防虫剤、クーラーの網の防カビ剤(お湯と石けんでよく洗っておくのがよい)などいたるところに使われている危険な時代なのです。
自然の夜風を楽しみながらやさしく健康に眠る夏の知恵
エアコンの普及であまり見かけなくなった蚊帳。もちろん快適さとなると冷房にかなわない。しかし、蚊帳には、夏の夜の不快さを風情に変えて楽しもうとした、昔の人たちの工夫とおおらかさが感じられる。
便利さや快適さも度を過ぎると弊害を招き体に良くない。夏の冷房もいろんな問題をはらんでいる。ここ数年多い夏風邪は、冷房による体調の乱れからくることがほとんどである。少々寝汗をかいても、窓を開け放ち、蚊帳の中で自然の夜風を待つほうが体には断然やさしい。そしてなにより蚊帳は、柔らかな繭のように心を落ちつかせてくれる。中に潜り込んで目をつぶると、蛍を放して遊んだ子どもの頃の記憶がよみがえる。
蚊帳はナイロン製をお推めします
オルターではこれまでプラスチック製品をできるだけ使わないようにいっています。しかし、蚊帳に関しては例外的に考えています。
なぜなら、ナイロン製の方が①軽い②しわになりにくい③洗濯が簡単(メッシュの袋などに入れて網目が痛まないようにすれば、家庭用の洗濯機での洗濯が可能です)④京都西川の良質な蚊帳ならほとんど一生ものでゴミにすることもない。
それに対して、片麻や綿製のものは①重い②しわになりやすく、保管も難しい③家庭では洗えないし、クリーニング代は新品を買うぐらいに高価です。天然物の味わいは確かにありますが、かなり丁寧な扱いが必要となります。
◇蛍光増白剤について◇
京都西川のナイロン製の蚊帳は残念ながら無蛍光ではありません。京都西川の片麻の蚊帳には無蛍光のものがありますが、上記の理由で扱いません。
なお、今回のカタログで別紙「インテリア編」の片麻の蚊帳は無蛍光です。
◇京都西川製をお推めする理由◇
スーパーなど量販店に出る蚊帳は2~3割これより安いものがほとんどですが、
①網目が粗く、小さい虫だと入ってくることがあります
②すその重さが十分になく、使用感が悪い
③付属品のつけ方も雑など
一言でいえば安物なのです。もし、そういう蚊帳でもよい場合(キャンプなどで使われる場合)、4割安い製品もご注文頂ければ、特別にお届けできますので、ご注文下さい。
昔ながら天然除虫菊の蚊取り線香を扱います
生産者:紀陽除虫菊(株),販売者:りんねしゃ
商品名:菊のけむり
成分:ケニア産天然除虫菊、タブの木、桧、澱粉、ソルビン酸(微量)
※使用期限:3年(今回限りの企画です。一年分の購入を)
特徴:一般市販品の主成分はピレスロイド系やアレスリンなどの農薬です。それに対して昔ながらの除虫菊を原料とした蚊取り線香です。
また市販の場合の青い着色料は発がん性のあるマラカイト・グリーンですが、そういうものを使わず、無着色です。人に優しい蚊取り線香です。
衣類の防虫には樟脳が一番安心
市販のパラジクロロベンゼンなどを使った防虫剤は極めて有害です。くすのきの成分の樟脳は、経口は体に良くない(子どもが誤って飲み込まないように注意して下さい)ですが、肺で吸うのは無害なので安心です。
また、衣類の化学変色の心配もありません。(他の防虫剤との同時使用は変色することがあります)冬物、春物衣類は土用に陰干しをしたあと、樟脳を入れて保管するのが昔からのコツです。
福岡県山門郡の内野清一さんは国内でただ一人の樟脳の生産者です。明治時代の創業で四代目。安い化学品に押され、天然物も中国から輸入されるようになり国産の樟脳はなくなってきました。
-文責 西川栄郎-