上品で濃厚 珠玉のビーフブイヨンできました

2003年10月5週号

 

オルターの有機畜産生産者の原料と司食品さんの技術
 別記事でご紹介したカレールーや、今後開発を予定しているラーメン用スープに向けて、安全、安心なスープの開発が最大のネックでした。現在国内で有機畜産の原料だけを使ったまともなスープは、ほとんど存在していません。あるのは、薬漬けの畜産の原料を使った薄いエキスに、グルタミン酸ソーダが加えられたようなものばかりでした。このことは、一般市販品はもとより、いわゆる自然食業界でも例外ではなかったのです。そこで、カレールーの開発に際してコスモ食品木村博州社長より、スープ製造の生産者として司食品の滝本博社長をご紹介いただきました。
 司食品の滝本博社長は、某大手エキスメーカーで経験をつんだ後、独立して司食品を創業なさいました。まさにスープ一筋で腕を磨かれてきたのです。今では、思い通りのスープに仕上げる経験をお持ちなのです。司食品の工場は、説明がなければ何を作っているかわからないほど、臭いもせず、静かで、清潔な工場です。製造工程はいたるところに特別仕様の機械が並び、最先端の工夫が施されており、日本国内最高といえるこの高い技術水準が、うまいスープエキスを生み出しているのです。一言でいえば、腕のいい最高のコックの技を、機械で再現したスープエキス作りなのです。これほどの品質にこだわった工場というのは、実は工場見学させていただくまで存じ上げていなかったのです。
 オルターの有機畜産生産者の原料と、司食品さんの技術が協力すれば、まさに鬼に金棒です。今回は、カレールー用に興農ファームの牛骨を原料に、牛ブイヨンを開発しました。スープ作りの製造ロットはトン単位で、カレールーに使用するのはその一部です。そのため、カレールーの開発と同時に、ブイヨンの発売も開始させていただくことにしました。カレールーの開発が軌道に乗ってから、続いてラーメンスープの開発へも向かう予定です。

コスモ食品 木村博州社長

司食品 滝本博社長
オルターオリジナル仕様 司食品のビーフブイヨン
 スーパーなどのエキスは、濃度がBrixで3~4程度のしゃぶしゃぶの薄いものに、食塩やグルタミン酸ソーダが添加されているものです。これに対して、今回の
ブイヨンはBrix25と極めて濃厚なもので、雑味もなく、上品でクセがなく、深い旨味のあるものです。グルタミン酸ソーダに頼らなくても、コクのある旨味をいっぱい含んでいます。

利用法
▽ラーメンスープ
  野菜や醤油を入れて、1袋で8杯分は取れます。
▽ポークブイヨン、チキンブイヨン、コンソメなどの代わりに
・シチュー、カレーには10倍希釈比でご使用下さい。
・ボルシチ、テールスープ、ユッケ、コムタンなどは25倍希釈で。
・飲むスープは30~40倍希釈
 その他、惣菜、お菓子など何にでも使えます。
希釈比は目安ですので、一緒に使う塩分、甘み、香辛料などによって変わります。
各自工夫してお使い下さい。
 素材のうまさをさえぎることなく、自らの味は邪魔な主張をせず、絶妙のハーモニーを醸し出す、まさに珠玉のブイヨンです。

原料と製造工程
原料

①興農ファームの牛骨
 興農ファーム(*)の牛骨を使った司食品さんによる評価は、上品でクセがなく、すごくよい原料だということでした。
(*)興農ファームについては別ページを参照してください。

②水
 良質な硬水(井戸水)

製造工程

 原料として興農ファームから、新鮮な牛骨を輸送しました。言うまでもなく、原料の鮮度は大切です。市販品では、このような最適の管理はほとんど無理です。
 司食品では、創業当初は長崎に工場があったのですが、新鮮な加工原料を求めて、現在の青森県に移転なさったくらい、鮮度に注意を払っておられるのです。
①原料受け入れ、保管
②原料からのお湯抽出
  常圧でアクを取りながら、最適の温度勾配でじっくりと行います。2番だし、
 3番だしは取りません。だしを取るのは1回だけです。牛骨は砕かずに使用しま す。砕くと歩溜りは上がりますが、雑味が発生します。常圧抽出法で行うのも、雑 味が出ないように考えてのことです。一般では圧力を加えて、ただ炊いて強力に エキスを引き出しています。歩溜りは上がりますが、雑味が発生し、おいしいもの は出来ません。
  じっくりとエキスを抽出するのは手間暇がかかり、作業効率が落ち、歩溜りも悪 くなり、コストも高くつきます。しかし、雑味がなく、上品で深いコクのある濃厚 なエキスに仕上がるのです。作業効率や歩溜りは品質のためにはあえて求められ ないのです。また、牛骨、豚骨、鶏骨などによって、その抽出条件は異なります。
 司食品では、それぞれの素材ごとに最適の条件で抽出しています。
  工場の製造現場は40℃にもなる蒸し暑い作業環境で、毎年2人は倒れるくらい だそうです。それでも良質の製品作りのため、全スタッフが協力しています。
 大手のように大ロットで3交代勤務で生産したりせず、2交代でじっくりと時間 をかけていいものを作っています。
  この味が認められてきたからこそ、原料がよい分、少し割高でも司食品の生産量 は年々伸び続けています。現在は生産量が2位ですが、日本のトップメーカーに なるのは、やがて時間の問題だと思います。
③濾過
④遠心分離
⑤濃縮
  プレート濃縮機を使って、低温(90℃)で旨味を逃さないように行います。
⑥濃度調整
⑦放冷して充填
⑧冷凍
  製品は急速凍結します。環境ホルモンのおそれのあるレトルト容器には充填
 せず、安全のために冷凍品として流通させます。

市販のブイヨン、コンソメなどの問題点
 牛、豚、鶏の各エキス、各動物脂肪、乳製品とも主原料が一般の畜産物を使うので、ポストハーベスト農薬、遺伝子組換え、飼料添加物、動物医薬品などの汚染が心配。野菜のエキス、パウダーは農薬の問題、酸化の問題があります。植物油脂にはトランス脂肪の問題、遺伝子組換え、ポストハーベスト農薬などの問題があります。エキス工場に持ち込まれているこれら原料の鮮度も問題です。抽出方法は、骨を砕き、加圧してとにかく歩溜りをよくして手間もかけず、ひたすら大量に炊くので、雑味が出て、おいしいものが作れていません。手間のかかる濃縮もほどほどに済ませただけの薄いエキスにアミノ酸、グルタミン酸ソーダ(脳障害)、蛋白加水分解物(発ガン性)を加え、キャリーオーバーの食品添加物も使われています。
 その他、食塩、砂糖、乳糖、ブドウ糖、デキストリンなどの原料にも、それぞれ品質レベルに問題があり、粉末醤油、酵母エキスには原料段階の問題やキャリーオーバーの問題があります。酸化防止剤、増粘多糖類、着色料、酸味料、香料、乳化剤などの食品添加物が多用されています。
 自然食業界のエキスでも、このことは基本的に同じです。また、各々の原料を仕入れて、ただブレンドしているメーカーも多いのです。それでは原料の安全性など、確かめるすべもありません。
 固形タイプのものは、固めるためにでんぷん(ポストハーベスト農薬、遺伝子組換え)が使われていること、レトルトタイプのものには容器からの環境ホルモンなど石油系化学物質の溶出が心配です。

(文責:西川栄郎)

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