安保農場の比内地鶏 鍋料理に向いています
2003年11月1週号
飼料の自給率向上など よりレベルの高い生産体制が夢ではない
秋田県比内町原産の在来種、比内鶏は国内の地鶏の中でも最も改良が遅れ、野生種に近いものです。ヤマドリに似た風味とコクがあり、日本一の美味鶏だと絶賛する人がいます。現在ではその純粋種は天然記念物に指定されており、もちろん食用に供されることはありません。
比内鶏の雄に、外来種のシェーバースタークロスの雌を交配したF1(雑種第一代目)が比内地鶏で、比内鶏の風味を十分に保ち、とくに鍋料理に向く、と評判です。
オルターの無農薬米生産者、ライスロッヂ大潟の黒瀬正さんが毎年年末に企画なさってきたキリタンポ鍋に使われている比内地鶏がおいしいので、その生産者、安保農場の安保鶴美さんをご紹介いただきました。安保農場はオルターのモチ米などの生産者、山本開拓農場の土橋敏郎さんのおとなりでもあります。
安保鶴美さんは比内地鶏を飼って約5年ですが、採卵鶏については20年来のキャリアがあり、そのたまごで作ったマヨネーズは消費者団体に出荷なさっています。
安保さんは飼料設計にかなり頑張っていらっしゃるものがあり、十分お付き合いできるものなのですが、正直に言ってオルターとしては、まだ改良していただく余地が残っていると思います。ただし、品質にこだわる姿勢をもっておられることや、飼料自給率を高めるのに必要十分な農地を確保なさっていること、黒瀬さん、土橋さんをはじめ、周辺から安全なくずもの飼料作物を調達できる環境にあること、自家配合ラインなどの設備上の好条件などもあり、オルターと協力しあえばさらに飼料の自給率を高めるなどのよりレベルの高い生産体制を実現できる可能性があり、将来がたいへん楽しみな生産者です。
安保鶴美さん
安保農場のPHF比内地鶏
品種: 比内地鶏(比内鶏♂×シェーバースタークロス♀)
飼料: 以下の材料を指定配合したものです。
・とうもろこし………PHF(ポストハーベストフリー)、NON-GMO(非遺伝子組換え)
・マイロ………………PHF(ポストハーベストフリー)
・大豆かす……………インド産、NON-GMO(非遺伝子組換え)
・米ぬか油かす(※)
・動物性油脂(※)
・炭酸カルシウム
・リン酸カルシウム
・食塩
・パプリカ抽出処理物
・珪酸
・飼料添加物(※)……ビタミンA、D、E、K、B2、ニコチン酸、パントテン酸、葉酸、メチオニン、コリン、炭酸マンガン、炭酸亜鉛、硫酸鉄、硫酸銅、ヨウ素酸カルシウム、エトキシキン
(※印は、改善がとくに必要と思う原料です)
この指定配合された飼料に発酵菌(島本酵素)と米ぬか(国産米)、もみがら、鋸くず(国産材)、さらに自家製のジャガイモがあるときはそれを加えて、二晩発酵させています。そのほか、草などの緑餌、ときどきはハーブ(アップルミント)、燻炭(もみがらを炭にしたもの)などを与えています。
水は地下水を使用しています。
鶏糞は畑に散布して循環させています。
飼い方
自分で設計・施工なさった広大な開放型鶏舎での平飼いで、坪あたり15~16羽の密度です。
微生物(島本酵素)を使っていますので臭いがなく快適な鶏舎です。
初生雛(孵化1日目)を孵化場から入れて、4週間目に鶏舎を移動し、180日で仕上げます。
出荷時で210日齢ほどになります。
予防注射はニューカッスル病ワクチンだけを実施しています。
安保農場の畑
鶏舎風景
飼育から食鳥処理まで一貫生産
安保さんは食鳥処理事業許可証をもっていらっしゃいます。農場で屠殺した鶏は、農協から譲り受けた元食肉配送センターだった食肉加工場で骨抜きし、精肉にするまで一貫生産なさっています。そのため、、私達からの細かい要求にも対応していただけます。
また、加工場の床には炭やゼオライトが使われていますし、鶏肉はマイナスイオン水に浸して雑菌対策を行なっています。
流通は真空パック包装で、冷凍扱いです。
安保農場 食肉加工場
一般市販の鶏肉の問題点
タナカファーム紹介記事(カタログ2001年4月第1週)の一般市販のたまごの問題点をご参照下さい。
(文責:西川栄郎)