ふとんメーカー「ジンノ」身体によいのは どんなふとんなのか 考えてみました
2003年11月4週号
人は人生の1/3をふとんで過ごすことになります。身体を休め、疲れを取るという意味でも、そのふとんの品質は大切なものであることは言うまでもありません。しかし、コットン(綿)は最も農薬を使用する作物であり、その農薬汚染が心配です。また、繊維や布には、化学染料、合成界面活性剤などその製造工程中に多用される化学薬品の問題があります。とくに農薬を使用した抗菌加工したものが出回っており、寝ている間にこれらの化学薬品に汚染され、休息どころかかえって喘息、アトピー、アレルギーなどの原因となっていることがあります。
このような理由で、オルターとして少しでも安全、安心なふとんをと㈱ハートのふとんを取扱ってまいりましたが、今週のオルター通信№801でお知らせする通り、ハートのカタログ説明には多々問題があることが判明し、その取り扱いを停止するに至りました。十分な裏付け調査をしていなかったというその反省に立ち、オルターとして、ふとんはどうあるべきかという原点に立ち返って、オリジナル開発をすることにいたしました。そして、ふとんメーカーとして「ジンノ」の神野修さんの協力をいただき、オルターのポリシーにふさわしい布団の開発をお願いすることになりました。
次週、「ジンノ」のカタログを参考にお届けしますが、全て手離しでお勧めしているというわけではありません。2週間に分けて、連続シリーズでオルターとしてお勧めのふとんの解説をしますので、納得したものだけのご購入をお勧めいたします。
神野修さん
ジンノのEri Silk
ジンノでは、環境意識から天然素材の繊維を大切にしています。その加工、製品化に際しても、化学薬品の排除に努めていらっしゃいます。また、第3世界との提携に際しては、公平な民衆貿易、フェアトレードの精神を心掛けておられます。
ジンノではシルクは、ベトナムの野蚕「エリシルク」を採用しています。
エリシルクは・・・・・
・夏涼しく、冬暖かい
一般の蚕糸と比べても、さらに他の繊維素材と比べても、エリシルクの絹繊維は、非常に細く、また多孔性ですので、糸として束ねたときに何層もの空気層ができます。そのため、高い断熱効果や吸湿効果をもたらし、優れた保湿性、保温性を有します。
・肌に優しく、ムレません
シルクは主としてアミノ酸のポリマーから成りますので、人肌に優しく、ムレません。繊維の細さも、ソフトな風合いの理由です。近年、絹繊維のらせん構造が原因と思われる不思議な生理活性効果が注目されています(近くまゆ健康法でご紹介を予定しています)。
・天然消臭、除菌効果
まゆの蛋白質、セリシンの効果で、天然消臭、除菌効果があります。
シルクは直かに着るのがよいのですが、汗などで汚れるので耐久性が問題となります。
エリ蚕の繭
エリシルクの電子顕微鏡写真
エリシルクの生産現場
エリシルクはベトナムの農家約5000軒が取組むようになっています。エリ蚕に取組む以前は貧しい暮らしが続いていましたが、現在では少しずつ、現地の人々の貧困の解消に繋がっています。ベトナムでは女性の地位が低く、子どもの多くは裸足で働き手となっています。エリシルクはやがて生糸として布地にするなど開発を進め、こういった現地の状況を少しでも改善することに繋がっていければと考えています。
野蚕のかいこは、キャッサバ(タピオカ)の葉を食べています。キャッサバはもちろん無農薬です。まゆはビンフォック省、タイニン省、ドンナイ省の3地区から切繭で集荷し、ベトナムのロックデュック社の下請工場で精練します。
まゆについている堅いセリシンをある程度除去するため、重曹で煮ます。ジンノさんの委託加工で、ふとん用なので生糸にせず、全部綿状に加工します。漂白剤などは使用していません。使用する重曹には、現在は一般の重曹を使っていますが、次回の輸入からは「買ってはいけない」著者三好基晴先生お勧めで、ラーメンにも使えるモンゴルシリンゴル高原産出の天然かん水層の天然重曹を使用する予定です。
側生地は、生成加工にプリント(化学染料)しています。一般は綿カスを練っていったん漂白して、ベージュ系に染色して生成加工としています。
生地のプリントは、エコテックス100規格の幼児用規格に従って染色されています。赤ちゃんにも優しい染色です。
(文責:西川栄郎)
野蚕栽培農家のお一人 ドンナイ省トンニヤット村 BUI THANH QUY(ブイ タン クイ)さん
LE TIEN THUY(リー ティエン トゥーイ)さんのエリシルク飼育風景
お勧めするふとんの組合わせ
冬期間
【掛】・羽毛掛ふとん
・シルク掛ふとん
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【敷】・シルク敷パット
・敷ぶとん
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直接身体に触れるところは上下ともシルクにするのが、保湿性、保温性、天然の消臭、除菌効果や遠赤効果があって最適です。掛ふとんは羽毛ぶとんが暖かく、軽く、フィット感に優れています。敷ふとんは現在使われているものでよいと思いますが、新たに購入するなら、伝統的な和ぶとんがお勧め。ただし和ぶとんは、放湿性に劣るので(したがって日光干しが条件になります)、放湿性に優れた麻とポリエステルの混綿の利用もありでしょう。ただし、ポリエステルにはキャリーオーバーの化学薬品の心配がありますので、必ずしもお勧めではありません。シルクは麻以上に吸放湿性に優れていますが、ふとん干しカバー(はっとりメディカルサービス:カタログ2002年6月第1週がお勧め)を使ってちゃんと手入れしないと、ダニやカビの発生をみることがあります。また、シルクアレルギーの人も中にはいらっしゃいますので、そういう場合には、オーガニックコットン毛布がお勧めになります。
夏期間
【掛】・シルク掛ふとん
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【敷】・シルク敷パット
・敷ぶとん
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冬の羽毛掛ぶとんを除けば、そのまま夏用になります。
春・秋期間
【掛】・羽毛掛ふとん
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【敷】・シルク敷パット
・敷ぶとん
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羽毛ふとんは夏涼しく、冬暖かいので、お勧めです。シルク掛ふとんだけでは寒く、シルク掛ふとんと羽毛掛ふとんを使うのは暖かすぎる季節には、羽毛掛ふとんだけで使えます。
以上のような組合せを市販品で行うと、とてつもなく高いものを売りつけられる心配がありますが、これからご紹介する「ジンノ」では高品質のものが、非常に良心的な価格で購入できます。