温暖化・パンデミック・食糧危機。ライフスタイルの変革で対策を。

2009年1月2週号

 

●異常気象が食生活に影響
 工業化社会が排出したCO2など温室効果ガスによると思われる「温暖化」によって、日本国内はもとより世界中に異常気象がもたらされています。南極や北極の氷が融け、海面上昇が問題になっています。海水温が上昇し、エルニーニョ現象が現れ台風が威力を強めています。オーストラリアでは5年来干ばつが続いています。アメリカ、中国では大雨で水害が起きました。
 これら異常気象は大災害を引き起こすだけでなく、農業や水産業に大きな影響を与え、私たちの食生活にも大きな影を落としています。
 オルターの提携している生産者においても、例えば標津漁協では海水温が高く、数年来サケの不漁が続いています。そこへ中国の買い付けが強まり、高値になっています。北太平洋のスケトウダラの漁獲不良ですり身が激減、おまけに中国の買い付け参入で練り製品業界が追い込まれ、今まで見向きもされなかった国内物の雑魚まで品薄が始まり、雑魚で練り製品を作っていただいている岡久蒲鉾店でも原料不安が起きています。丸友しまかさんの鮮魚のフィールド・三陸沖では、これまで見られなかった九州や四国の魚が泳ぎ、魚の旬がすっかり様変わりしています。鳴門のワカメも不作の上、偽装騒ぎでほんものの国産ワカメが奪い合いになり、値段が2倍以上になりました。
 九州の野菜の生産地では、度重なる台風や畑の地形が変わるほどの大雨で、せっかく植えた苗が流されました。三河みりんや幸崎けやき堂の原料のもち米どころの佐賀県ではもち米が不作、生産地がなんと北海道へ移りつつあります。四国でも雨が続いたと思うと水不足。これまで比較的寒冷地だった長野県で、白鳥さんはりんごの病気発生に悩まされています。山形県の白鷹農産加工研究会のように、冷害の常襲地域だったことろで農作物が何でも穫れるようになった、という逆の話もあります。フィリピンでは雨期と乾期が逆転し、ATJのバランゴンバナナにも影響が出ています。

●穀物価格の高騰
 世界各地の異常気象によって、穀物価格が高騰しています。昨年アメリカのトウモロコシは大雨で5%減収し、高騰の原因となりました。オーストラリアでは干ばつで穀物が不作になり、慎重だった遺伝子組み換え技術の導入を開始しました。
 更に穀物価格は原油高や投機マネーの流入で高騰し、食糧不足が原因の暴動が2007年に18ヶ国で起きています。2008年には米、小麦、トウモロコシ、大豆などの輸出規制に踏み切った国が15ヶ国に達しました。ヨーロッパなどの穀物商社は大豆不足の中、チェルノブイリ原発事故による放射能汚染にまみれた大地、ウクライナで大豆の大規模な作付けに入り、日本市場を睨んでいます。アメリカ政府の穀物戦略が日本から中国へシフトし、日本の穀物事情は全く先行き不安定になっています。この売り手市場が畜産業界に飼料高騰をもたらし、牛乳やたまごなどの値上がりが必至です。既にお菓子業界では原料の小麦粉やバターなどの確保にたいへん苦心しています。
 これまでの輸入穀物におけるポストハーベスト農薬汚染や遺伝子組み換え作物、放射能汚染のような質的危機が更に深刻さを増しているのに加えて、今後は量的な不足による食糧危機の足音がますます大きくなるでしょう。にもかかわらず日本政府は根本的な国内自給率向上の努力をしないまま、悪しき減反政策をまだ続行している有り様です。

いつ起きてもおかしくないパンデミック
 一説によると温暖化によって永久凍土が融け、強毒性の鳥インフルエンザウイルスが渡り鳥(水鳥)に感染し、世界中へ伝播しているとの事。そして、猛スピードで変異を続けている鳥インフルエンザが「ヒト→ヒト」へ感染するように変異するのはまさに時間の問題とされ、WHOや各国政府がいつ起きてもおかしくない世界的流行(パンデミック)対策に追われています。
 このH5N1型新型インフルエンザに関する解説は、カタログ2008年12月3週号で詳しく行いました。来週のカタログP2~3では、その詳しい対策をお知らせする予定ですので、ぜひご覧ください。

●各自で危機管理を
 このような食糧危機やパンデミックに対し、政府をあてにしても空しいだけです。各自可能な限り自己防衛のための危機管理をなさる事をおすすめしたいと思います。
 オルターとしては2009年年頭にあたって、「野菜セット」「野菜パック」「フルーツパック」「リピートくん」などの自衛策を提案します。

◎米
 最低2週間、できれば2ヶ月分の米が家庭にあるように備蓄してください。備蓄は酸化しにくい玄米の30kg袋が理想です。半日以上浸水すれば完全に発芽モードになり(時間のない方は炊飯器の機能で2時間で可能)、発芽玄米と同じ効果が得られるので、玄米30kg袋で1人の人間が2ヶ月くらい生きられます。白米や歩づき米が食べたい方は、その都度新鮮な米が食べられるよう、精米機が必需品です。生産者にはできるだけ籾(もみ)保管をお願いしていきます。オルターにおける備蓄も検討しています。

◎水
 パック入りの「木頭村 山の湧水」を備蓄して下さい。賞味期限は2年以上ありますので、定期的に新旧を入れ替えてください。

◎野菜セット
 生産者とできるだけ親戚付き合いするようなレベルで、お互い顔の見える関係を作る事をおすすめします。そのためには、小林さん、西川年武さん、谷農園、キッチンガーデン、熊本有機の会などの野菜セットがおすすめです。1週間の必要量に比べて少し少なめの量のセットを選択して、単品野菜で残りの必要量を調整するのが長続きするポイントです。単品では買わない旬ごとの野菜も届くので、偏らない料理にチャレンジできます。

◎とれとれ!おまかせ野菜パック
 これだけ天候不順が続くと、これまでのように暦通りには野菜が届きません。単品野菜での受注には限界があり、絶えず欠品、遅配、中止のおそれがあります。また生産者も収穫が早まると出荷先を失う事になります。「とれとれ!おまかせ野菜パック」は数種の軟弱野菜を品目を固定せず、最適な収穫タイミングで出荷できるので、旬の野菜をリーズナブルに購入できます。欠品も出にくく安定供給が可能になり、生産者も端数まで出荷できるので大いに助かります。「とれとれ!おまかせ野菜パック」は袋に生産者名を明示し、同じ生産者から異なった組み合わせのセットも出ます。いのちのさと、小林さん・大亀さん・青木さん以外に、オルターの生産者から「☆」以上の水準の野菜を応援していただきます。

◎とれとれ!おまかせフルーツパック(新企画)
 果物は収穫タイミングが野菜以上に難しく、量もなかなかピッタリにすることができません。野菜パックと同じ考え方の「とれとれ!おまかせフルーツパック」なら、いつも何かしらの果物をタイムリーに届ける事が可能です。毎週切れ目なく、いろんな果物を楽しむ事ができます。「とれとれ!おまかせフルーツパック」は、野菜パックのように1軒の生産者のものだけで組み合わせるのは困難ですので、オルターの果物生産者全ての協力を求めます。

◎リピートくん(新企画)
 一度ご登録いただくと、品物が毎週、自動的に届くシステムです。オルター会員の毎日の食卓に欠かせない野菜と米を中心に、豆腐や牛乳などよく使う食材、健康を支える人参ジュース健康法用にんじんや細寒天など、21点をピックアップしました。「リピートくん」について詳しくはP2~3をご覧ください。

―文責 西川栄郎(オルター代表)―

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