EM技術を活用した自然農法
2009年1月3週号
●いろんな野菜を少量ずつ栽培
京都府の丹後半島で、自然耕房あおきの青木伸一さん、美恵さんは数名の研修生と共にEM技術を活用した自然農法に取り組んでいます。農薬や化学肥料はもとより、動物性の肥料も使わない畑で、たいへんおいしい野菜が育っています。栽培面積はおよそ2.5haあり、年間を通して約60種類もの露地の葉もの野菜、根菜類を作付けされています。
オルターとの提携が安定してくれば単品出荷も検討する事にしていますが、まずはカタログ2008年7月4週号でご紹介した「とれとれ!おまかせ野菜パック」の応援を始めていただいています。
これから春にかけてはほうれん草、小松菜、みぶ菜、春菊など、春には白菜(とう菜)、のらぼう菜、レタス、サニーレタスなど、夏はなす、ピーマン、トマト、万願寺唐辛子、つるむらさき、空芯菜など、秋はみぶ菜、みず菜、小松菜、ほうれん草、ブロッコリー、カリフラワー、レタス、サニーレタスなどを出荷いただく予定です。
●嘘偽りのない仕事がしたかった
青木伸一さんはもともとは堺市の出身で、お父さんは建設関係のサラリーマン。ご本人も1998年に退職するまではある大手建築会社のサラリーマンをしていました。近郊の市街化地域でマンション建設などに携わっていましたが、バブルが弾け、建築主に嘘をつかないと仕事ができなくなって、辞める事にしました。
1999年に現在の京丹後市に移住し、その年の6月より、ある大手の自然食宅配へ出荷している減農薬農家で研修を受けられました。しかし、ある日、その宅配団体へ提出した書類に、使用しているにもかかわらず報告されていない農薬・除草剤があることを知り、既存農家の現状に驚いた経験もされています。
農業を始めた当初、由良川の河川敷の刈草を置かせてほしいという話があり、1反の畑にそのまま10ヶ月置いてトラクターですき込んだところ、栽培したチンゲン菜が虫もつかず元気に育った経験が、後日、岡田茂吉氏提唱の自然農法やEM農法との出会いにつながりました。当初使っていた牛ふん堆肥も1年以内に使わなくなり、2000年には「自然耕房あおき」を立ち上げて自然農法に取り組まれました。
こうした活動が2002年8月の毎日放送「VOICE」や2004年12月のテレビ朝日「人生の楽園」などマスコミで紹介されるようにもなりました。番組の中で、青木さんが自然農法に取り組む仲間と立ち上げた「出荷組織」が紹介されましたが、生産者全体の生産性が上がらず、ご苦労されていると伺いました。農村へのIターンや自然農法への取り組みは、けっして平坦な道ではなかったそうです。また京丹後市ではシカなどの獣害にも悩まされています。
●丹後半島に広がる自然農法の輪
青木さんは「世の中、理不尽な事だらけ。狭い利害にしがみつき、大切なものが失われてきました。地球温暖化も然りです。せめて、子どもたちには希望を感じる事のできる未来を残したい。その為には自分自身が変わる事、時代に流されず嘘偽りのない仕事を見せる事から始めようと思いました」「逆境でも、私たちが楽しく生きていく事が子どもたちの未来の創造につながると信じています」と農業にかける想いを語られます。
おそらく青木さんにとってオルターが初めての本格的な出荷先になるはずです。オルターとしても中心的な生産者のお一人として、今後の活躍を期待しています。
青木さんのオルターへのご紹介は、EM技術の「医服」の生産者、トータスの亀田悦子さんからです。亀田さんにとって藍染め用の藍の自然農法の師匠というべき、同じく京丹後市の田中功さんも一緒にご紹介いただきました。その田中功さんから、同じ地域でEM自然農法に取り組む梅本修さんたちも紹介されています。これら京丹後市の自然農法を志す生産者との提携も、順次深めていく予定です。
自然耕房あおきの自然農法(オルター基準☆☆☆)
農薬、化学肥料、動物性堆肥などを使いません。基本は、刈った草や生木チップなどで畑の土を覆うだけです。それらが微生物の棲家となり、やがて肥料にもなるという方法です。肥料としては米ぬか、油カス、カキ殻、カニ殻などをEM菌で発酵させたボカシを少し使うくらいです。
畑にはもともと山土を客土し、クローバーやエンバクなどを緑肥としています。かぼちゃ作りなどに不耕起栽培にもチャレンジしています。土づくりをしっかりした畑で肥料を使わず、無理をさせずに育てた野菜は病虫害に強く、美しく、おいしいものです。
ますますパワーアップ!「とれとれ!おまかせ野菜パック」
毎週2~3品目の軟弱野菜をセットにしてお届けしています。温暖化による異常気象対策を考えたパック野菜です。生産者の出荷優先順位は、①いのちのさと(自然農法) ②小林忠さん(自然農法) ③青木伸一さん(自然農法) ④小林グループ(自然農法) ⑤オルターのほかの☆以上の生産者(有機農業)です。
―文責 西川栄郎(オルター代表)―