農家養鶏を守る、こだわりもんマヨネーズ作り

2009年3月4週号

 

安全安心な農家養鶏のたまごを使った、
画期的な連続式乳化システムの
高品質なマヨネーズ。

●安全な農家養鶏のたまごを原料に

 (株)ななくさの郷・松田マヨネーズの松田優正社長は、安全なエサを使う事ができる3千羽規模の飼育羽数の農家養鶏のたまごや、遺伝子組み換えの心配のない菜種油など、原料の安全性を大切にしてマヨネーズを作っています。また製造工程においても、大手メーカーのように容器の中に原料を入れて撹拌する「バッチ式」ではなく、最先端の技術「連続式の乳化システム」を開発して、高品質のマヨネーズ作りに成功しています。
 勿論、最初からマヨネーズ作りがうまくいった訳ではなく、工夫の連続だったそうです。何ヶ月もうまくできない時もありましたが、ひとつひとつ解決なさってきたのです。そういうチャレンジがワクワクする、と楽しんでこられました。松田さんはたまごの代わりに豆乳を使った「とうにゅうず」も作っています。

●砂糖を使わないマヨネーズ

 松田さんのマヨネーズには砂糖が使われていません。「身体に悪い砂糖は使いたくない」と、砂糖の代わりに蜂蜜を使っています。
 この砂糖を使わない松田のマヨネーズに対して、こともあろうに農水省がマヨネーズと呼んではいけないと圧力をかけてきたのです。農水省はJAS規格の見直し作業を業界の主導で行い、大手メーカーで構成している業界団体が「マヨネーズには砂糖以外は使ってはいけない」と規格化した事から、蜂蜜を使ったものはマヨネーズとは呼んではいけないというのです。数年前の話です。仕方なく松田さんはマヨネーズという表示をやめ、JASに従う形で表示を「マヨネーズタイプ」にせざるを得ませんでした。
 この農水省の不条理な圧力についてはマスコミにも取り上げられ、オルター通信でも指摘してきました。松田マヨネーズの愛好家によって「松田のマヨネーズはマヨネーズだ!の会」も発足し、署名活動や農水省への申し入れも行いました。
 そして昨年農水省に正式に「蜂蜜を使ってもマヨネーズと表示してよい」と認めさせ、晴れてマヨネーズという表示に戻せる事となりました。

●農家を守るのが仕事

 オルターと松田さんとの出会いのきっかけは、ウィンドファミリー農場の放し飼い鶏たまごの応援でした。ある生協が理不尽にも鳥インフルエンザ対策に従わなかったとして取引を一方的に拒否して、ウィンドファミリー農場がたまごを余らせて困っているので応援してほしい、と健康を守る会の山中和子代表から頼まれ、オルターとして一時期たまごを引き取る事で応援しました(カタログ2004年5月2週号参照)。
 オルターの応援が始まるまでの間、このたまごの緊急避難としてマヨネーズ作りを引き受けたのが、松田さんでした。当時、松田のマヨネーズの販売量は急速に伸びており、これ以上新規の取引先を増やしたくないと考えていたのに、快く引き受けられたのです。
 松田さんはもともと、ほぼ自給自足生活をしていた農家の生まれで、子どもの頃よく農作業を手伝っていたそうです。約35年前、当時としてはまだ珍しかった自然食の卸問屋に就職。やがて独立して開いた自然食品店で栃木県の高橋養鶏のたまごを全量引き取り契約しましたが、夏場など時期によっては余ってしまいます。そのたまごを活かすために思いついたのがマヨネーズ製造でした。約25年前の話です。「だから他人事とは思えない。良心的な農家を守るのが自分の仕事です」とおっしゃる松田さんの心意気に、私たちも感銘を受けたものです。

●ななくさの郷の活動

 マヨネーズ工場は埼玉県神川町の山間にあります。1994年に東京都内から移りました。この地を選んだ主な理由は、菜種油の購入先がこの近くにあり、特注の菜種油のドラム缶を運ぶ往復に便利なことからでした。
 松田さんは、良いたまご、良い油など良いものを作る人が増えていく事は良い事だと考えておられます。「こういう気持ちを分かってくれる人にマヨネーズを食べてもらいたい」とおっしゃっています。
 松田さんはマヨネーズ製造の傍ら、今でも何十種類もの野菜作りに取組み、自給自足の生活を楽しんでおられます。

松田のマヨネーズ/甘口&辛口
原料

●たまご…下記の農場のたまご全卵を使用しています。農家は3千羽規模の飼育羽数で、くず野菜もふんだんに与える事のできる農家養鶏と提携しています。飼い方は平飼い。非遺伝子組換えやポストハーベストフリーのエサを与えています。抗生物質不使用。
 日本のうえん(埼玉県)、高橋養鶏(栃木県)、ウィンドファミリー農場(栃木県)、竹渕進(群馬県)、中村功(埼玉県)、南風農場・渡辺和彦(千葉県三芳村)、じろえむ・稲葉芳一(千葉県三芳村)、清水クリーンファーム・川名晴作(千葉県三芳村)、帰農志塾(栃木県)、酒匂徹(岩手県)、やまなみ農場(福島県)、(有)食通…茨城ギルド(栃木県、茨城県、千葉県)高田和彦、井口輝男、速水務、大原由美子、川嶋秀雄、菅澤広志、島田和雄、濱田幸生、小田裕一、草間祐天、渡部真吾

●菜種油…米澤製油。オーストラリア産菜種(非遺伝子組み換え)を無添加、圧搾搾り。

オフィス今村刊、中央アート出版社発売「危険な油が病気を起こしている」の解説の中で今村光一氏が指摘された、米澤製油の菜種油にトランス脂肪酸が 8.5%検出された件については、米澤製油として精製温度を下げて、トランス脂肪酸の発生が少ないよう改善を終了されています。米澤製油の菜種油に含まれるトランス脂肪酸はマヨネーズ重量比で現在1.5%。ちなみに、現在世界で最も厳しいトランス脂肪酸の規制値はデンマーク・2003年6月施行の「加工食品中で油脂中のトランス脂肪酸2%以内」です。

●リンゴ酢…内堀醸造。国産(慣行栽培)リンゴ果汁原料、速醸法(通気発酵)※オルター仕様ではありません。

●塩…海の精(海水塩)

●蜂蜜…萩原養蜂の国産百花蜂蜜。蜂蜜を使っているのは、砂糖を避けたかったことと、リンゴ酢のリンゴとイメージが合うと思ったからとのことです。

●香辛料…美の久・ナイル商会。マスタード:カナダ産からし菜種。ポストハーベスト農薬不使用。白コショウ:マレーシア・サラワク産。

甘口、辛口はマスタードの量の違いです。甘口は自分流に工夫するマヨネーズベースの味の料理に向いています。

製造工程

①たまご、塩、蜂蜜、香辛料を混合する。たまごは機械を使わず、手作業で割っています。大手メーカーのように機械を使うと、次亜塩素酸ソーダや合成洗剤が使用されます。また手で割ることによって、たまごの品質をいつもチェックすることができます。
②連続式乳化機で菜種油、リンゴ酢を混合して乳化する。バッチ式と違って、加工工程での品質劣化が最少にできています。
③容器へ充填。

●賞味期間
 開封前:180日、開封後:30日(要冷蔵)

松田のとうにゅうず
マヨネーズの原料のたまごを豆乳に変えて、マヨネーズが作れないかとの発想から作られたものです。よりヘルシーさを求める人やベジタリアン向けです。

原料

●豆乳…ヤマキ。大豆は特別栽培農産物(減農薬)で秋田県、岩手県、青森県のもの・および一般国産のもの。水は秩父中古生層の湧き水を使っています。
●味噌…松田自家製。無農薬大豆、米麹(無添加)。
●国産菜種油…米澤製油。国産(北海道産・青森県産)菜種を無添加圧搾搾り。
●リンゴ酢、塩、蜂蜜、香辛料…「松田のマヨネーズ」と同じ。

製造工程

①豆乳、塩、蜂蜜、味噌、香辛料を混合する。
②と③は「松田のマヨネーズ」と同じ。

●賞味期間
 開封前:120日、開封後:30日(要冷蔵)

劣化した場合、変色して油の匂いが強くなりますので、あまり長期にわたって保管しないで下さい。合成乳化剤などを使わず自然な乳化に徹していますので、製品ボトル中に水分が滲出することがありますが無害であり、混ぜて食べても問題ありません。

市販のマヨネーズの問題点
 原料のたまごにはエサのポストハーベスト農薬、遺伝子組み換え、飼料添加物、さらには動物医薬品などの問題があります。大手のマヨネーズ工場では大量に割卵するため、次亜塩素酸ソーダを使用しています。油には原料のポストハーベスト農薬汚染、遺伝子組み換えや抽出法のトランス脂肪酸、n-ヘキサンなどの化学薬品の使用が問題です。酢はアルコールの製造原料段階に問題があり、速醸法にも問題があります。調味料としては、化学調味料であるグルタミン酸ソーダが基本的です。素材のもつ味が活かされず、人工的な味になっています。

―文責 西川栄郎(オルター代表)―

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