エーゲ海産海綿の天然スポンジ
2009年5月2週号
たいへん肌にやさしく、入浴用、化粧落としに最適。
アトピー肌やデリケート肌にも。
●お肌に最適な浴用スポンジ
充分に水に戻したこの天然スポンジに、そっと触れてみてください。その手触りの柔らかさ、心地よさに驚いてしまうはずです。キメの細かさと実にソフトな肌触り、それでいて崩れにくい弾力性が特徴です。
ギリシャの首都アテネの南東に位置し、トルコに近いエーゲ海のDODECANESE諸島に属するKALYMNOS(カリムノス)島は、別名“SPONGE DIVER'S ISLAND”(スポンジ島)と呼ばれ、古代から天然スポンジ業で栄えてきた島です。
この天然スポンジはエーゲ海カリムノス島周辺の100mの深海で産出されるたいへん貴重な海綿です。カリムノス島は暖流と寒流が交わる地点に位置するため、そこに生息する海綿の細胞は他の地域の海綿と比べ非常にキメが細かい組織でできており、たいへん良質です。
そのため刺激がなくお肌の角質層の汚れを落とす事ができるので、肌にたいへん優しい高級な浴用スポンジです。アトピーなどお肌のデリケートな人でも安心して使える優れものです。このスポンジはヨーロッパでは家庭のバスルームにさり気なく置かれ、インテリアとしても活躍しています。
お肌はとても正直なもので、固いもので洗えば負けじと固くなっていき、柔らかいもので洗えばそれだけ柔らかくなっていきます。ゴシゴシ洗いは厳禁なのです。エーゲ海からの贈り物、優しい肌触りの天然スポンジは、お肌にとって最高のリラクゼーショングッズといえるでしょう。
●ダイバーたちの命がけの仕事
石油からできた合成スポンジが世に登場してからは、カリムノス島の天然スポンジの出荷量は激減しました。そのため、島民の約9割は観光業や他の漁業に就かざるを得なくなりました。数年前に異常気象やそれに伴う海水の変化で海綿が病気になった事件も、島民に大きなダメージを与えました。
ダイバー(潜水夫)の年齢層は20~65才と幅が広く、10年ほど前は1000人以上もいましたが、最近では約300人に減ってしまいました。30年以上前、ダイバーたちは石を錘として裸で潜り、ロープで引っ張り上げてもらっていました。イタリア製の潜水服を着るようになっても潜水事故が絶えず、多くのダイバーが亡くなりました。最近は事故は減ったものの、それでも年間4~5件のダイバー事故があります。時には100m以上も潜るので、海綿(スポンジ)採りは今でもたいへん危険な仕事なのです。
スポンジのポイントは「ノーアレルギー、ノースクラッチ、そしてナチュラル」です。天然志向が見直され、再びカリムノス島のスポンジが脚光を浴びています。島の人々の夢は「再びカリムノス島をスポンジの島として蘇らせること」です。
●天然スポンジとの出会い
天然スポンジのオルターへの紹介は、カタログ2007年5月4週号の「ハーバルカラー ヘナ」でご紹介したグリーンノートの中澤由紀子さんです。
中澤さんはヘナの開発のため、国内のアイヌ染、琉球染、藍染の産地をはじめ、タイ、ラオス、ベトナム、ブラジル、アマゾン、ボリビアなど世界各地の草木染を研究しました。そんな中、トルコを訪れた際、この世界中で一番優れているといわれる天然スポンジに出会い、魅せられたのです。以来トルコ内で多くの仕入れ業者をあたりましたが、多くのところは他産地産を混ぜたりしており、納得できる相手と巡り会えないまま何年か経ちました。
そうするうちにギリシャのカナリア諸島のスポンジを採取するダイバー、メーヤス夫妻を紹介されました。ヒーテル・メーヤスさんから直接、良質の天然スポンジが直送されてきます。ヒーテルさんは、合成スポンジに市場を奪われたとき、船乗りになって日本にも働きに来たことがあるそうです。最近は天然志向の高まりで再度天然スポンジが見直され、少し忙しくなってきたとの事です。
(株)グリーンノートのエーゲ海産・天然スポンジ(海綿)
●高品質な天然スポンジ
エーゲ海産の海綿(スポンジ)は低い水温の海水で生息する為、他産地のものと比べて細胞が締まっており、その為キメが細かくコシがあります。晴天が多く日照が多い為、海水が蒸発して塩分濃度が通常より高いという海水の質や、暖流と寒流が交わり水流が激しいという海流条件の為、水質がよい事も、品質の良さに繋がっています。
海藻などの自然生物にお肌をツルツルさせる効果がある事は、タラソテラピーなどを通して最近知られるようになってきました。この天然スポンジは特にキメ細かなきれいな肌になっていく美容効果が期待され、安心な100%自然のものです。
●使い方
通常の浴用での使用の場合は、毎日使っても約6か月から1年間ご使用になれます。人間の皮膚と同じ動物性蛋白質なので、乳幼児やお肌のデリケートな方にも安心です。化粧落としも楽に行えます。お肌に心地よいマッサージ効果を与えます。
●美しい形状
このスポンジは自然が生み出した産物ですので、形状は一つ一つ異なっています。使いやすくするため島民が丁寧に下処理やカッティングをしています。
●スポンジの種類
■HONEYCOMB種(ハニカム種)…蜂の巣のように穴があいていて弾力があり、ボディー用スポンジ(大人&子供の身体を洗う/血行が良くなり皮膚を保護する)に適しています。その他、以下のような用途があります。
競馬の馬洗い用(馬の血行を良くする)/洗車用(車に細かい傷をつけない)/オフセット印刷用(フィルムを洗う)/日焼けオイル用(スポンジに染み込ませて身体に塗る)/ペインティング(壁のデコレーション、水彩画など美術用)
■FINESILK種(ファインシルク種)…スポンジの中でも最もキメが細かく繊細。フェイス用やベビー用に最適です。その他、以下のような用途があります。
メイクアップ用(化粧時に化粧水をスポンジに浸してパッティングする/寝る前の化粧落とし)、洗顔用(水洗い後にスポンジに石けんをつけて洗顔する/水に浸したスポンジで石けん不要の洗顔)、エステティックのマッサージ用、郵便切手や印紙を貼る時のスポンジ用、バスルームのデコレーション用、一般家庭の食器洗い用、工場などの高級食器の最終仕上げ用、生理用品用(タンポンとして利用する方が増えています)。女性用の避妊具として昔から使用されています。
●天然スポンジにも偽物があります●
カリブ、フロリダ、インドなど暖かい地域で採取される海綿は安価ですが品質は脆く、長期間の使用に耐えられず、一度や二度の使用で崩れてしまうものが多くあります。これら質の悪いGRASS種などのスポンジを、外見からは殆ど見分けられないのをいい事に、エーゲ海産のスポンジとして堂々と偽って日本でも流通しているので、要注意です。 ELEPHANT EAR(象耳)という種類もありますが、厚さが5mm前後と薄いため用途が少なく、美容用には適していません。因みに一般的によく使われているナイロン系の浴用タオルは、肌を傷つけ黒皮症の原因となりますので、使用はやめるべきです。
―文責 西川栄郎(オルター代表)―