アフリカ伝統の天然保湿クリームシアバター
2009年9月4週号
フェアトレードの良質な未精製100%シアバター。お肌のケアの効用が注目されています。
●肌にやさしいシアバター
アフリカ工房の前田眞澄さんは、青年海外協力隊として派遣されたことのあるガーナ北部タマレにあるズオ村から、フェアトレードで良質な未精製100%シアバターを輸入しています。
ガーナ、ブルキナファソ、ナイジェリアなどの国では、千年以上昔からシアバターを「強い日差しや乾燥からお肌や髪を守る保湿クリーム」「火傷や傷の治療薬」「食用油」「生まれたばかりの赤ちゃんのお肌や臍の緒の手入れ」「筋肉痛、リュウマチを和らげるマッサージクリーム」「石けんの原料」として使ってきています。
日本でもその高い保湿力、紫外線防止効果、皮膚再生力、老化防止効果、アトピー性皮膚炎の治療などへの利用が注目されています。前田さんの元へも、ユーザーから「夜も眠れなかった肌荒れが驚くほどよくなった」「ステロイド剤をつけても治らなかった娘のおむつかぶれが3日できれいになった」「ひどい手荒れがだいぶよくなった」「冬の肌荒れに悩んでいたが、肌が潤って、吹き出物や毛穴まで目立たなくなった」「カミソリ負けしなくなった」などの声が寄せられています。
シアの木はアフリカ大陸、北緯5度から15度の間に分布するアカテツ科の双子葉植物です。シアの果実の種子のさらに内側にある「仁」から採れる脂肪分をシアバターと呼びます。
●アフリカと日本の架け橋に
前田さんは青年海外協力隊として訪れた現地ズオ村で、初めてシアバターに出合いました。帰国後、このシアバターと、シアバターを作るアフリカの人たちを日本にぜひ紹介したいと、協力隊OBの現在のパートナーと一緒に「アフリカ工房」を立ち上げ、シアバターの販売を始めました。
肌荒れに悩む人々の役に立つことはもちろん、アフリカの人々の豊かな自然との共存の仕方、コミュニティーのあり方、生活の知恵、子どもたちの笑顔あふれるエネルギーを日本の人たちに伝えたいと思っています。
シアバター作りは、シアの実拾いからバターになるまでのほとんどの工程が手作業でなされています。援助団体から油脂抽出機械が与えられても、結局「手作業のほうが質のよいシアバターができる」といって、伝統的な製造方法にこだわる現地の女性たち。そんな良質の未精製のシアバターを適正価格で買い取ることで、村の現金収入が増えます。
こうして外国人に評価されることで、現地の人たち自身が自分たちの持っている資源の豊かさに気付き、誇りをもつきっかけを作れると考えています。ガーナでも、とくに若い女性は、シアバターよりも輸入品の添加物だらけのクリームを使うほうがかっこいいと思っているのが現実です。
アフリカ工房のシアバター
現地の生産者はガーナ北部タマレにあるズオ村の女性たちです。
シアバター作りには温度管理や練り技術など、熟練の技が欠かせません。
■原料
シアナッツ
■シアバターの成分組成
オレイン酸(不飽和脂肪酸)・・・38~50%
ステアリン酸(飽和脂肪酸)・・・34~45%
パルチミン酸(飽和脂肪酸)・・・3~9%
リノール酸(不飽和脂肪酸)・・・5~8%
アラキジン酸(飽和脂肪酸)・・・1~2%
微量成分2~11%として、
トコフェロール(抗酸化性)、トリテルペンアルコール類(肌を柔らかくし紫外線吸収作用、血行促進作用)、カロテノイド(皮膚や粘膜の再生を助ける)
■製造工程
<現地での作業>
①早朝ブッシュで、熟して自然落下したシアの果実を拾う
②果実の中にあるシアナッツをゆでて発芽を防いだ後、天日乾燥
③外の硬い殻を砕いて種子(核)を取り出し、さらに天日乾燥
④選別後、機械で荒く砕き、火にかけてロースト
⑤粉挽き機でペースト状にする
⑥水を加えて1~2時間、手作業で練り込む
⑦クリーム状に分離した脂分をすくい、水洗いする
⑧火にかけて水分を飛ばし、シアバターだけを取り出す
⑨布で濾過し、不純物を取り除く
⑩かき混ぜながらゆっくり冷却
⑪型に流し込んで完成
このシアバターは精製していませんので、精製品のような有機溶剤などの残留がなく安全です。
また、シアバター特有の微量有効成分もそのまま保たれています。
<日本での作業>
ズオ村より直接空輸で取り寄せたシアバターは日本で再度濾過をしてそのまま、または精油などを加えて製品化しています。
■ご使用方法
★ぴゅあシアバターナチュラル 30ml
未精製100%シアバター。
甘いナッツの香りがします。
★ぴゅあシアバターラベンダー 30ml
未精製100%シアバターに1%ラベンダーと
ローズウッドの精油を加えています。
豆粒大のシアバターを手のひらでよく温めてから、乾燥の気になる部分に薄くのばしてお使いください。
洗顔後の保湿、水仕事後の手荒れ、リップケア、ヘアワックス、全身のマッサージに。あまり香りが残りません。
シアバターは常温では固形の油脂です。融点は36~40度なので、ちょうど体温ですーっと融けます。
冬場は固くなりがちなので、暖かい部屋に置くか、お風呂上がりなど体温の高いときに使用すると使いやすいです。
※アフリカ工房ではこの品を化粧品、医薬品としての販売はしておりません。
市販のシアバターの問題点
市販品の多くは薬剤を用いて抽出または精製しています。無臭に近いため化粧品の原料としては使いやすいのですが、精製によって有効成分も除去されていること、薬剤残留の心配があります。値段も高く、混ぜ物も心配です。
―文責 西川栄郎(オルター代表)―