超貴重、オルター基準☆☆の有機りんご

2009年10月5週号

 

抗酸化力が強くたいへんおいしい、貴重な有機りんごです。

●病気の人々に背中を押されて
 りんご栽培が盛んな青森県南津軽郡藤崎町において、晴香園の福田秀貞さんは国内ではたいへん珍しい貴重な有機りんごを栽培しています。皮のまま安心して食べられるりんごです。抗酸化力が強く、時間が経っても切り口が褐色化せず白いままで乾燥していきます。もちろん食べておいしいりんごです。
 福田さんは有機栽培のために、自家製のりんご酢をはじめ、マシン油、石灰硫黄合剤、水和硫黄剤、B.T剤など、有機でも使用可能な防除剤を工夫して使っています。
 福田さんがりんごの無農薬栽培を目指されたのは、亡くなったお母さんのふゑさんの影響が大きかったそうです。嫁いだ姉が病弱だったため、お母さんが健康医学社という東洋医学の雑誌の愛読者で、農薬の害に関心を寄せていたからです。その健康医学社で農業用の米酢を売っていたことから減農薬りんご栽培を始め、その雑誌で福田さんの減農薬りんごが紹介されたことから、いろんな病気で苦しんでいる方々の存在を知り、それらの声に背中を押されながら無農薬への挑戦を始められたのです。
 1965年に大学の農学部(農業経済学科)を卒業すると同時に家業のりんご栽培に3代目として従事。1970年青森県りんご協会基幹青年第6期生。その後、前述のようにお母さんの影響で無農薬、安全、安心のりんご栽培を目指されました。1993年に比嘉先生の講演会でEM農法に出合ったことをきっかけに、1994年から本格的に取り組んでこられました。
 有機栽培にやっと自信がもてたのは5年前の2004年のことです。1999年には青森県の特別栽培の認証を、2005年には有機JAS認証を取得されています。

●収穫量は通常の1/2~1/3
 福田さんのりんご園では、EM散布液がかかるよう、また太陽や風がたっぷり入るように、樹間・幹間・枝間を十分にゆったりと空けていますので、収穫量は農薬を使っている慣行栽培の1/2~1/3しかありません。今も栽培方法の試行錯誤が続いています。私からの提案で自然農業の技術も学びはじめていただいています。
 このような経営状態になる有機栽培に対して、当然のようにお父さんの秀雄さんはずっと反対されてきました。以前は近所のりんご農家からも奇人変人扱いを受けたそうです。しかし、前述したお母さんの支え、また短大の栄養科を卒業して農協の職員、生活指導員をしてきた奥様の泰子さんの理解と支えがあって、困難な有機栽培の道をひるむことなく歩んでこられたのです。同じ津軽で無農薬のりんご栽培に取り組んでおられる木村秋則さんとも同じグループで学んできました。
 りんごの樹勢も落ち着いてきたので、これからは収量増も期待でき、より多くの人に安全なりんごを提供していただけるはずです。オルターへの紹介は根っこやさんで、インターネットで良さそうな生産者がいるという情報からです。

晴香園 福田秀貞さんの有機りんご(オルター基準☆☆)
●有機認証
(財)自然農法センター

●りんご圃場
3.5ha

●品種
つがる、黄王、ふじ、さんさ、ジョナゴールド、北斗、シナノゴールド、王林

●栽培方法
防除
EMアップルビネガー ・・・・・・自園の摘果りんごとEMから作った自家製りんご酢。                           殺菌・殺虫用。          
マシン油 ・・・・・・・・・・・ダニ対策用。 
石灰硫黄合剤 ・・・・・・・モニリア病対策用。
水和硫黄(コロナフロアブル)・黒星病対策用。                                      この黒星病に一番悩まされています。
B.T剤(ファイブスター)・・・・・害虫対策用。

いずれも有機栽培許容農薬(JAS法が有機農産物に使ってもいいと
許可している農薬。オルターではJAS別表農薬と呼んでいます)です。
除草は草刈り機を使用して年6回ほど行っています。

●肥料
EMボカシ(米ぬか、鶏糞、EM-1、EMセラミック、光合成細菌)、
EM活性液「萬寿のしずく」(「食べもの百科」P219参照)。
化学肥料は40年以上使っていません。

市販のりんごの問題点
市販(慣行栽培)のりんごの農薬使用例
平成21年度りんご病害虫防除暦

散布時期・4月下旬
<対象病害虫>
モニリア病・腐らん病・黒星病・リンゴハダニ・リンゴコカクモンハマキ・キンモンホソガ・ギンモンハモグリガ
<基準薬剤>
マシン油乳剤・リンゴコカクモンハマキ防除剤・ベフラン液剤

散布時期・5月上旬~中旬
<対象病害虫>
黒星病・腐らん病・うどんこ病・モニリア病・ミダレカクモンハマキ
<基準薬剤>
EBI単剤

散布時期・5月中旬~下旬
<対象病害虫>
黒星病・腐らん病・うどんこ病・黒点病・斑点落葉病・ミダレカクモンハマキ・リンゴハダニ
<基準薬剤>
EBI単剤

散布時期・6月上旬
<対象病害虫>
斑点落葉病・黒星病・うどんこ病・黒点病・腐らん病・すす斑病・すす点病・クワコナカイガラムシ・アブラムシ類・ギンモンハモグリガ・ハダニ類
<基準薬剤>
炭酸カルシウム水和剤・クワコナカイガラムシ防除剤・EBI混合剤

散布時期・6月中旬~下旬
<対象病害虫>
斑点落葉病・腐らん病・黒星病・すす斑病・すす点病・黒点病・炭疽病・褐斑病・モモシンクイガ・ハダニ類・アブラムシ類・ギンモンハモグリガ・シャクトリムシ類
<基準薬剤>
炭酸カルシウム水和剤・ジマンダイセン水和剤又はプラウ水和剤又はアントラコール顆粒水和剤又はユニックス
Z水和剤又はチウラム剤又は有機銅剤

散布時期・7月初め
<対象病害虫>
斑点落葉病・黒星病・すす斑病・すす点病・黒点病・炭疽病・褐斑病・ハダニ類・モモシンクイガ・リンゴコカクモンハマキ・キンモンホソガ・ギンモンハモグリガ・シャクトリムシ類・
<基準薬剤>
ピレスロイド剤・プラウ水和剤又はアントラコール顆粒水和剤又はユニックスZ水和剤又はチウラム剤又は有機銅剤又はオキシラン水和剤

散布時期・7月半ば
<対象病害虫>
斑点落葉病・褐斑病・黒星病・すす斑病・すす点病・炭疽病・腐らん病・ハダニ類・モモシンクイガ・ギンモンハモグリガ
<基準薬剤>
アントラコール顆粒水和剤又は有機鋼剤又はオキシラン水和剤又はアリエッティC水和剤

散布時期・7月末
<対象病害虫>
斑点落葉病・褐斑病・黒星病・すす斑病・すす点病・炭疽病・腐らん病・キンモンホソガ・ハダニ類・モモシンクイガ・クワコナカイガラム・ギンモンハモグリガ
<基準薬剤>
ベフラン液剤又はアリエッティC水和剤又はダイパワー水和剤又はフリントフロアブル又はストロビードライフロアブル又はナリアWDG

散布時期・8月半ば
<対象病害虫>
斑点落葉病・黒星病・すす斑病・すす点病・炭疽病・褐斑病・ハダニ類・モモシンクイガ・ギンモンハモグリガ・シャクトリムシ類
<基準薬剤>
ベフラン液剤又はアリエッティC水和剤又はダイパワー水和剤又はナリアWDG

散布時期・8月末
<対象病害虫>
斑点落葉病・黒星病・すす斑病・すす点病・炭疽病・褐斑病・ハダニ類・モモシンクイガ・ギンモンハモグリガ・シャクトリムシ類
<基準薬剤>
ベフラン液剤又はフリントフロアブル又はストロビードライフロアブル又はナリアWDG

※そのほか必要に応じて下記の薬剤を使用
トップジンM、ベンレート、プラウ又はユニックスZ、スコアMZ、ロムダン、アタブロンSC、カスケード、BT剤、トクチオン、エルサン、ダーズバンDF、ユニックス顆粒又はポリオキシンAL、デミリン又はノーモルト、オーソサイド、ストライド、フリント、ストロビー、ベフラン

―文責 西川栄郎(オルター代表)―

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