不適切な靴は外反拇趾などの原因に パラマウント靴

2008年3月3週号

 

足にやさしい靴のポイントは、
①かかとの支え、固め ②足のアーチの保持 ③甲のおさえです。


●適正でない靴から起こる身体の異常


「ゆったりした靴を選んだのに足が痛くなる」「前幅が痛くて、踵がゆるゆる」「歩くとすぐバテる」「膝が痛い」「腰が痛い」などという経験はありませんか。実は市販されている靴のほとんどが日本人の足のサイズに合っていないのです。その原因は一言でいうと、靴の歴史の浅さからです。靴製造の理論が正しく理解されていないのが原因です。
 例えば外反母趾はヒールの高い靴や狭い靴だけが原因ではありません。土踏まず(アーチ)が低下(偏平化)し、骨が倒れ、崩れることが大きな原因で、「踵がゆるゆるの靴」「大きすぎる靴」を履いても起こるのです。通常、靴の幅が大きすぎて日本人の一般的に細い足には合っていません。日本人の足によく合う靴は市販ではまず手に入らないのが現状です。
 靴が適正でないため、外反母趾や扁平足などの足の異常から膝や腰、背骨さらには内臓の異常にもなることが知られています。東京厚生年金病院が500人の女子大生を対象に行った足の調査で、若い女性ですら、足が正常と言えるのは全体の16%(6人中1人)に過ぎず、殆どに「過度の外反」の傾向が認められています。足の裏には、歩くための必要なアーチという構造があります。このアーチがくずれるとストレスがたまり、疲れやいろいろな障害が引き起こされるのです。

●足のサイズ合わせをお薦めします


パラマウントワーカーズコープ社では、顧問の田中尚喜理学療法士のアドバイスのもと、適切な靴理論に基づいた身体にやさしい靴作りを行っています。延べ600アイテムに及ぶ各種サイズの靴を作っており、実質的にオーダーメイドと呼べる中敷合わせによって、より自分に合う適切な靴を選ぶことができます。カタログ上でのご紹介には当然のことながら限界がありますので、ぜひオルターのイベントなどで実際にご自身の足のサイズ合わせをおすすめします。
 パラマウント社はかつて経営悪化に陥った後、職人さんたちが「自分たちは靴を作るしかない」と自力再生して、良心的な靴を作り続けている会社です。一般流通には売らず、職域や一部の生協などでその良さを訴えながら販売されているものです。

パラマウント社の靴
●全種類に“ロング・カウンター”を装着

 足のアーチがくずれると親指の関節に無理な力がかかり、親指が外側へ変形してしまいます。正常な足は、かかとの骨が外側に5~7度程度傾いているものです。「過度の外反」とは8度以上傾いている状態を指します。このような足は、土踏まずがつぶれ外反母趾になる場合が多いのです。
 土踏まずがつぶれないように、傾こうとする足を靴で内側から支えなければなりません。それを支えるためにロングカウンターが必要です。すなわち、アーチのくずれをおさえ、外反母趾を防ぐには、カウンターが土踏まずまで入った靴をはくことが大切なのです。
 パラマウントの靴は、かかと部に装着されたロングカウンターが、かかと部分から土踏まずまでをしっかり支え、足の疲れ、痛み、ゆがみ等の足の障害を防ぎます。
 
カウンターとは?
 カウンター(月型芯)は、かかと部の表革と裏革の間に挿入する半円形の芯のことです。平らな状態では三日月型をしているために、月型芯とも呼ばれます。
 足のかかと部を保護し、足を安定させるために重要な部品です。また、靴を美しく長く保つ目的もあります。歩行のときの衝撃でかかと部がやぶれたり、足の骨が内側に傾きすぎたりするのを防ぎます。とくにヒールの高い靴や長時間はく靴には、しっかりした形状のカウンターが必要です。カウンターがしっかりしているかどうかは、靴選びの重要なポイントです。

●疲れない、痛まない、心地よい

◎滑りにくい靴底
 大理石やタイル張りの床・凍結した道路で威力を発揮する靴底です。天然ゴムにジュート(麻)を練りこみグリップ性を大幅にアップしました。
◎むれにくい新素材インソール
◎足にフィットする本革中底
 中底に本革を使用した靴は、履くほどに足にフィットし、長時間歩いても疲れにくくなります。
◎足指の保護を考えた靴型設計
 ウォーキング系の靴は、足指全体に余分な力がかからずゆったりおはきいただけるよう靴型を工夫しています。
◎オブリック型
 指先に沿って斜めにカットされたつま先が特徴。足の型に合わせた靴型です。

靴選びのポイント
足の親指が小指の方にぐっと曲がっている人(外反母趾)、足の裏に魚の目、タコができやすい人、いつも窮屈な靴を我慢して履いている人、靴底の減りが極端に違う人、足の障害などハンディキャップをもっている人は、今からでもすぐに靴に関心をもって下さい。
 よい靴の条件は、「筋肉が十分働くことができるために適正な長さと幅があること」「適正な甲の高さ 」「踵の部分がぴったり適合していること」「足趾をしめつけない程度の適当な広さ」「踵はあまり高くないこと」です。(東京厚生年金病院 室生祥)

①靴はまっすぐ作られているか
 踵から爪先までが直線上に作られているものが、正常な歩行を助ける靴です。

②カウンターはしっかりしているか
 カウンター(月形芯)は、足を安定させるために重要な部品です。踵をしっかり支えなければ、足の骨は内側に傾き、足の疲れや扁平足をうながすことになります。この状態が長く続くと、外反母趾などの足の障害につながります。

③シャンクはしっかりしているか
 鋼鉄製のシャンク(踏まず鉄)は中底と本底の間に挿入される補強芯で体重がかかるアーチの荷重を支え、アーチの形状を保ちます。また、歩行の際の衝撃を適度な弾力で分散吸収する役目を果たします。このシャンクの部分が簡単に曲がるようでは、役目を果たしません。

④指の付け根で曲がるか
 足は、指の付け根(中足指節関節)でしか曲がりません。その位置でちゃんと曲がらなければ、足を痛めることになります。

⑤重い靴は軽く歩ける
 歩行は、けり出すことによって、前に進みます。けり出した足は、振り子の作用で自然に前に出ます。この自然な動作がスムーズに進むためには、靴はある程度重くなければなりません。歩行は、足を持ち上げるものだと勘違いすると、軽い靴がいいと錯覚します。

 

―文責 西川栄郎(オルター代表)―

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