農薬不使用、天然成分の防虫剤
2008年3月4週号
森にいるような爽快感。
有効成分に天然成分利用の防虫・抗菌・消臭グッズです。
●天然の抗生物質、驚くべき青森ヒバ
青森ヒバは木曽ヒノキ、秋田スギと並んで日本三大美林のひとつです。このヒバは昔から「蚊殺しの木」と呼ばれています。ヒバで家を建てると真夏に窓を開けっ放しにしていても3年間は家に蚊が入ってこない、というところからきています。総ヒバ材で建てられている中尊寺金色堂は築後700年以上経っているのに一本の柱も腐れず、害虫にも食われていません。じつはヒバの柱は永久に腐らないとさえいわれています。
製材所から出るヒバのオガ粉や端材100kgから、1リットルのヒバ油が水蒸気蒸留で採れます。このヒバ油には、?カビや細菌を寄せつけない効果 ?人に対するリラックス効果 ?ゴキブリやシロアリに対する害虫忌避効果、ダニに対する殺虫効果 ?消臭効果が認められ、近年たいへん注目されています。
ペニシリンの発見がノーベル賞を受賞しましたが、じつはこのペニシリンとノーベル賞を競ったもうひとつの候補があったのです。それが青森ヒバ、ヒノキチオールでした。発見者は東北大学の野副博士です。
植物は害虫から身を守るために揮発成分テルペン類を放出します。それらは「フィトン(植物)」「チッド(殺す)」という意味のフィトンチッドで、森林浴で話題になる植物成分です。青森ヒバのフィトンチッドは、竹、松、ヒノキ、スギなどに比べて最強といわれています。ちなみにヒバは乱伐から資源が枯渇しないよう「年間計画調整伐採」されています。
●農薬を使わない防虫スプレー
カーボンテックというシロアリ防除で実績のある会社が、新築時や建替え時に床下に大量に農薬を撒くことに疑問を持ち、青森ヒバ油を使ったシロアリ防除剤を自社開発されました。さらに研究を重ね、青森ヒバ油をはじめ、コパイバ、ニーム、エレミ、ベチバなど最も害虫忌避効果の高い植物精油を工夫、配合して、家庭用の防虫スプレー「ムシさんバイバイ」「クロアリバイバイ」「ダニくんバイバイ」「ムシさんバイバイジェット」を開発されました。また生活アートクラブはタジマヤオービスなどと協力して、上記4アイテム以外のアイテムを取り扱っています。
農薬を使わず、天然成分を有効成分としたことで、アトピーの方、子ども、ペットなどに安全安心な防虫剤となっています。ただし原材料の一部に、ヤシ油脂肪酸エステル(合成界面活性剤)、オレンジ油(農薬使用あり)、IPソルベント(高級アルコール系合成界面活性剤)、イソプロピルアルコール(石油系アルコール)など毒性の心配のある成分が使われ、化学物質過敏症の方にとっては手放しでよいとはいえないもの(下記・原材料表示に△印をつけています)があります。
これら天然成分の防虫剤のご紹介は、カタログ2008年1月4週号のマニキュアもご紹介いただいた生活アートクラブの富士村夏樹さんからです。
富士村さんは環境問題(とくに「川の浄化」をテーマにしたヒバ油入り洗剤用廃油石けんの活動)から、殺虫剤やシロアリ駆除剤も農薬成分でできていること、またその使用量は国内の農地に散布される数百倍の量にも及ぶこと、それらが土壌から浸透し、やがて河川や森林にも悪影響を与えることを知り、農薬殺虫成分に代わる青森ヒバに強い関心を持ったそうです。その後、元東京大学大学院農学生命科学研究科・谷田貝光克教授や近畿大学農学部・駒井功一郎教授などの学識者による試験やアドバイスの協力を得て、カーボンテックとの共同開発をしています。
市販の防虫剤の問題点
市販のスプレータイプなどの殺虫剤には有機リン系やカーバメイト系の農薬が使われています。蚊とり線香などにはピレスロイド系の農薬が使われています。電子蚊とり器は有機リン系農薬を電熱で蒸発させる仕組みになっています。タンス用にはナフタリンやクレオソートなどの化学薬品が使われています。ナフタリンには不純物として強い発ガン物質のベンツピレンも含まれています。
呼吸器からこれらの農薬や化学薬品を吸収するのは、食べものから農薬を摂取する以上に危険なことになります。嘔吐、下痢、めまい、顔面蒼白などの急性症状の原因となるだけでなく、肺から直接全身の細胞に届けられ、その殺細胞効果にさらされることになり、化学物質過敏症、アトピー、ガン、精神障害などを引き起こします。虫を殺すと同時に人にも深刻な被害を引き起こすのです。最近の殺虫剤は無臭タイプのものが増え、一見気付きにくいので要注意です。人やペットの住む住環境にこのような農薬をまき散らすこは、論外の行為と言わざるを得ません。
―文責 西川栄郎(オルター代表)―