珍しく貴重な☆☆マンゴー
2008年6月1週号
話題の熱帯フルーツ、マンゴー。オルター栽培基準☆☆です。
南さつま市の(有)秀美園・塩屋秀人さんは、マンゴーとしては国内ではまだまだ珍しい実質的に有機栽培(オルター栽培基準☆☆)となる作付けに取り組んでいます。
塩屋秀人さんは名刺を2枚お持ちの方で、本業は建設会社です。その残土捨て場の有効利用と、建築不況の先行きを考えて、2004年にマンゴーのハウス栽培を始めました。今年で4年目になります。親の代は農家で、当初はそば作りでもと考えておられましたが、行政の奨励・補助もありマンゴー作りに取り組むことになりました。
マンゴー栽培の技術などは、鹿児島県マンゴー栽培技術研修会で学んでいます。塩屋さんが有機農業にこだわったきっかけは、もともとポンカン、タンカン栽培をしており、始めは減農薬で作っていましたが、皮の利用法をいろいろ求められる中で無農薬にしていったことからでした。
オルターへの紹介者は、同じ南さつま市の長崎農園の長崎大海さんからです。長崎さんは韓国の趙漢珪さんの主宰する自然農業協会の提唱する「自然農業」に取り組んでいます。本年の秋からレモン、カボス、タンカンなど柑橘類をオルターへ出荷していただく予定です。塩屋さんはこの長崎さんとの情報交換、アドバイスも取り入れて、マンゴーの有機栽培に取り組んでいます。
*注文が多い場合、遅配になることがありますが、遅れても必ず届ける予定です。予めご了承ください。
秀美園の☆☆マンゴー
46アールの自園、約500本のマンゴーを有機栽培しています。
●品種
アーウィン種。一般にアップルマンゴーと呼ばれているものです。
●防除
収穫後剪定したとき、枝の切り口に対し、炭そ病などの予防として1回だけボルドー液(有機で認められている資材)を使用しています。病虫害対策の基本は「天恵緑汁」を葉面撒布し、木の抵抗力を強めることです。
天恵緑汁…ヨモギ、ツワブキ、タケノコ、ギシギシ、クローバー、アロエ、クズ、海草を黒砂糖液に漬け込んで発酵させた酵素液。生長ホルモンが活発な芽、出たばかりの実、完熟した実、蜜と香りに満ちた花など、その時期に勢力の強い植物を使用するという、前述の「自然農法」の考え方を基にした、長崎農園の長崎大海さん手作りの資材です。
害虫に対しては忌避剤として木酢液を使用。長崎農園手作りの「しょうが、ししとうエキス入りの木酢液」と塩屋さん手作りの木酢液を薄めて、必要なところに部分的にスプレーしています。その他、病虫害対策として木と木の間隔、風通しを大切にしています。
●肥料
米ぬか、油カス、醤油搾りカス、炭、腐葉土、長崎農園製「魚のアミノ酸」。「魚のアミノ酸」は背の青い魚のアラと黒砂糖を漬け込み、発酵させ、そのエキスを抽出したものです。数多くのミネラルを含んだ栄養剤として優れた効果を発揮します。
市販のマンゴーの問題点
マンゴーは熱帯性フルーツです。原産国の気候では無農薬栽培もあり得ますが、国内に輸入する段階でポストハーベスト農薬の対象とされてしまいます。通常は国内、国外とも農薬を多投している果物です。
とくに化粧箱に入れて販売されている百貨店などでは、たとえ葉っぱの影程度の色ムラでさえ認めないほど見栄えが重視されていますので、無農薬栽培などはたいへん困難です。
―文責 西川栄郎(オルター代表)―