三河みりんで作った梅酒
2008年8月2週号
砂糖を使わず、三河みりんと無農薬の梅で作った爽やかな梅酒。
●爽やかな和のリキュール
三河みりん(カタログ2006年12月5週号参照)でおなじみの角谷文治郎商店が、オルターの梅生産者・大西由春さん(カタログ2005年9月1週号参照)の無農薬の梅と三河みりんで、砂糖を使わず作った梅酒です。砂糖を使った梅酒とは違い、爽やかな香り、涼しげな喉ごしのなめらかさが特徴の和のリキュールです。
●みりんで作った梅酒は、たいへん芳醇
本物のみりんを使った梅酒が、たいへんフルーティーで芳醇な飲みものであることは、梅狩りやカタログなどで再三機会あるごとにお知らせしてきた通りです。氷砂糖や安物の合成焼酎で作る梅酒より、むしろ経済的で、おまけに安全でおいしいのです。
●家庭でおいしいみりん梅酒を作ると、法律違反?!
ところが、NHKのテレビ番組「きょうの料理」において、ある講師がみりんで梅酒を作るという紹介をしたところ、税務署から酒税法違反であるという抗議を受け、しばらくの間NHKは「みりんで梅酒を作るのは法律違反になります」という趣旨の謝罪テロップを流し続けました。この騒ぎをみたテレビ朝日がわざわざ30分番組を特集するというハプニングまでありました。
税務署の指摘は「みりんで梅酒を作ると、梅が発酵してアルコール分が増えるので、それが密造酒にあたる」というものです。国民のささやかな楽しみや健康を理解しない“お上”的発想だとは思いますが、家庭でアルコール濃度20%以下の焼酎を使って梅酒を作った場合、再発酵してアルコール濃度が少しでも増加したら密造酒となり、法律違反となりますので、くれぐれもご注意です。ちなみに税務署は「みりんに梅をつけた梅酒はだめだが、梅にみりんを入れたみりん梅漬けは問題がない」(??)とのことです。
もちろん角谷文治郎商店では酒税をきっちりと払っているので、密造酒にはあたりません。ご安心ください。
●オルターの信頼できる無農薬梅で仕込みました
角谷文治郎商店では以前、別の生産者の梅を使っておられましたが、その生産者の梅は安全性に疑問があるとの指摘を私からさせていただいた経緯があります。角谷さんはさっそくオルターの大西由春さんの無農薬梅に切り替えられました。たいへん立派な姿勢だと感服しています。
●おしゃれな飲みものです
角谷さんの梅酒には“アルコール濃度10%の濃醇タイプ”と“アルコール濃度14%の辛口タイプ”とがあります。
濃醇タイプの方は食前酒、オンザロックなどで味わってください。辛口タイプの方は食事の邪魔をしない後口の切れのよいお酒として、冷やしてストレートでお飲みください。
角谷文治郎商店の梅酒
●原料
梅…無農薬。生産者は大西由春さん(カタログ2005年9月1週号参照)。
もち米…佐賀県JAさがみどりの特別栽培(減農薬・減化学肥料)もち米(品種はヒヨクモチ)、および北海道産の特別栽培(減農薬)もち米を使っています。
米こうじ…愛知県JAあいち中央他。品種は祭り晴れ。
本格米焼酎…角谷文治郎商店の自社港本町蔵。国内産米100%使用。常圧単式蒸留。
●製造方法
梅酒二段仕込み新製法です。第一段目としてもち米、米こうじを本格米焼酎の中に仕込み、もち米の甘さを十分に引き出した後、第二段目として洗浄した青梅を仕込み熟成する新製法の二段仕込みです。最初の仕込みから足掛け三年熟成。濾過(30ミクロンフィルター)してビン詰めします。
濃醇タイプは青梅800~1000gと三河みりん1.8リットルの割合で作られています。辛口タイプは濃醇タイプ6:本格米焼酎(アルコール濃度20%)4の割合で作られています。砂糖や甘味料を一切使っていません。もちろん食品添加物無添加です。
●飲み方
ソフトでフルーティーな香り、カドのないまろやかな梅の酸味と、スキッと上品でキレの良いもち米の甘さがバランス良く調和した、お米の深みのある自然の旨さが一体となって、軽く柔らかな飲み口に仕上がっています。口に含んだ後の爽やかさが際立つ梅酒です。
三州梅酒10(濃醇タイプ)
アルコール濃度10%。お米のおいしさを活かした「和のリキュール」として。日本料理の食前酒として、寛ぎのひとときに、ソフトな飲み口がよく合います。ストレートでお気軽にどうぞ。また氷を浮かべて少しずつ溶けるのを楽しむオンザロックはいかが。さらに、三州梅みりん酒のおいしさが引き立つのがお湯割りです。最初の仕込みから足掛け3年の熟成の良さが味わえます。また紅茶に垂らして甘さと香りをお楽しみください。引きのよい甘さを活かして、カクテルにもぴったり。
三州梅酒(辛口タイプ)
アルコール濃度14%。ソフトな口当たりでストレートで飲める梅酒です。冷やしてお召し上がりください。食事のじゃまをしない後口の切れのよいお酒です。
市販の梅酒の問題点
昨今は梅酒が商品となる時代です。ひと昔前は梅酒は家庭で作る代表的な果実酒でした。もの作りを他人に任せるたびに、安全など何かを失くしていくのではないでしょうか。
梅に関しては、安物はまず輸入もの。台湾や中国からの梅は種が大きく食べられるところが少ない品種です。畑での農薬の使用やポストハーベスト農薬も心配です。盛んに国産を強調してCMをしているメーカーがありますが、慣行農法には農薬の使用があり、国産梅だから安全とはいえません。
使われるアルコールは粗悪な醸造アルコールです。砂糖はもちろん、場合によると甘味料が使われます。短期に製品化するため酸味料で酸っぱさを演出しているものもあります。香料、カラメル色素もそれらしく見せるために使われています。
―文責 西川栄郎(オルター代表)―