天日干し、無添加無着色 ちりめんじゃこ
2007年12月1週号
ちりめんの本場、静岡から
たいへんおいしいちりめんが届きます。
●本場の良質なちりめん
長年ちりめんをお世話になってきた瀬戸内冷蔵の廃業に伴う後継生産者として、桜えびでお世話になっているかもめ屋の生産者、由比のかくまつ岩松商店の岩辺博行さんに、ちりめんをお願いすることとなりました。
静岡県はちりめんじゃこの本場です。岩辺さんのちりめんもたいへん良質で、味の面では瀬戸内冷蔵の大西さんのものよりさらに良質といえます。
●天日干し、無添加
かくまつ岩松商店では、釜揚げ桜えびも製造しており、ちりめんじゃこも共通の設備で製造します。生産規模、ロットとも最近の大型設備とは異なり、天日干しなど良質なちりめんじゃこ製造に向き、小回りをきかせられる適正な生産規模です。すでに塩は赤穂の天塩を使い、無添加無着色で製造されていますので、仕様上何の問題もありません。
●漁師さんの協力で
通常は冷蔵扱いで製造したての新鮮なちりめんじゃこをお届けします。しかし1月、2月の禁漁期については冷凍保存したものをお届けします。
生産量に限度があり、供給量が不足することもありえますので、その場合は岩辺さん以外に、他の静岡県の同等の生産者にも、将来かもめ屋から協力を呼びかけていただくことにしています。かもめ屋の色本幸代さんの亡くなったご主人が漁師出身なので、このような協力が可能です。瀬戸内冷蔵に引き続いて末長いお付き合いをお願いしたいと思います。
※同じく瀬戸内冷蔵の廃業により欠品中 の「煮干し」については、由比では秋 の一時期を除いて、煮干しに向くカタ クチイワシの漁獲がありません。ある ときは企画できますが、ないことの方 が多いため、別の生産者を探している ところです。
かもめ屋の天日干し無添加ちりめん
●生産者
かくまつ岩松商店・岩辺博行さん
●原料
しらす……岩辺博行さんのお父さん、岩辺幸一さんの第二不動丸をはじめ、由比独特の一艘引きしらす漁船40叟から由比港に水揚げされるしらすを年間70~80%使用します。このしらすが不足する時は、由比港以外の駿河湾他港の横砂港、田子の浦港で同様に水揚げされるしらすを使います。静岡県のちりめんは高級品として知られています。
ちりめんになるしらすはカタクチイワシの子です。マイワシの子が混じることもあります。イワシは浜から500m~1kmの辺りに一番多くいます。沖合4~5kmの場合もあります。浜が砂浜の場合は魚体がおおむね白く、砂礫のところはやや黒っぽく味に深みがあります。イワシは幸い食物連鎖の一番前の方ですので、汚染が一番少ない安全な魚と考えられます。
塩……赤穂の天塩
●製造工程
一切の薬品処理はありません。
①水揚げされ、競りかごに入ったしらすを加工場に運びます。
②砂取り用の水槽にちりめんを入れ、水洗いします。水洗い後、かごに入れます。
③釜で塩ゆでします。
④塩ゆで後、ザルですくいあげて水切りし、セイロに入れて冷まします。
⑤すぐにそのまま天日干しします。雨天などで保存する場合は-40℃で冷凍保存し、後日天日干しします。
⑥そのまま冷蔵出荷する場合と、禁漁期などに備えて冷凍庫で保存(最長半年)して出荷する場合とがあります。
⑦注文をきいてから袋詰めし、金属探知してから出荷します。
●賞味期限
冷蔵で2ヶ月。家庭に届いたちりめんは冷蔵庫に入れ、お早めにお召し上がりください。長く保存したい場合は冷凍も可能です。
市販のちりめんの問題点
ちりめんの品質は、原料しらすのとれる海域や乾燥方法によって左右されます。機械乾燥や乾燥剤による乾燥は、色落ち、味落ちの原因となります。
もともとちりめんは、静岡県遠州灘の白砂のところで保護色として真白く育ったしらすから作られる「大白ちりめん」が市場で高値で取引きされていました。この白いちりめんに近づけるため、他産地では漂白が一般的に行なわれてきたのです。漂白しているものは目玉のところも白くなっているのですぐわかります。
さらに釜揚げちりめんの場合は必ずといってよいほど酸化防止剤の使用が避けられません。いりこ作りなどでは首が落ちないように酸化防止剤を使ったり、新鮮さを装うため青白くみせるような着色料も使われてきました。売れ残って、古くなって酸化してどうしようもなくなったものは捨てずに佃煮屋さんに売られていくのです。佃煮にすればわかりにくくなるためです。
かつては日本各地にちりめん作りがたくさんありました。しかし、今日ではその数がすっかり減ってしまいました。なぜならインドネシアなど海外から、もっと安いものが大量に輸入されるようになったからです。輸入の黒っぽいちりめんは、水にもどして、真白に漂白し直され、作り直されています。市販のちりめんがパサパサ、すかすかでたいへんまずいのは「水にもどしたり」しているからで、ときには薬品臭まで感じるものも多く流通しています。こんな小魚ではいくら小魚といっても、子どもの体によいわけがありません。
―文責 西川栄郎(オルター代表)―