おいしさに定評 三陸の魚

2006年10月4週号

三陸沖は、世界三大漁場のひとつ。
大変おいしいと定評のあるその天然鮮魚を、使いやすくひと手間かけて、お届けします。

●地元三陸の、天然魚のうまさを伝えたい
 黒潮(暖流)と親潮(寒流)がぶつかって海洋深層水面に湧き上がり、プランクトンの発生も豊かな三陸沖は、世界三大漁場のひとつとして知られています。魚種、漁獲量とも豊富で、たいへんおいしい魚が獲れています。
 三陸海岸のある、岩手県宮古市で魚屋を営む丸友しまか(有)の島香尚さんは、地元の魚がおいしいのをごく当然のように思っていました。しかし、その魚を食べさせた県外の消費者がこぞっておいしいと評価してくれることから、地元の魚のおいしさを改めて認識されたとのことです。

●漁場と街を結ぶ、新スタイルの魚屋
 島香尚さんは、かつて北洋トロール漁船の漁船員をされていました。実家が魚屋だったことから、第2の人生として1984年、地元の団地で魚屋を開店しました。
 そんな折、同じく地元で山地酪農を営み、その牛乳を消費者に直売されていた中洞牧場の中洞正さんに出会われ、自然や体によい食べものを熱く語る中洞正さんの考え方に共感し、天然の魚介類を扱う意味を再認識されたのでした。今では、中洞牧場と提携されている消費者団体とのお付き合いが始まり、漁場と都市とをダイレクトに結びつける新しい魚屋のスタイルを確立されつつあります。オルターへのご紹介も中洞正さんです。

●旬の素材を、ひと手間かけてお届け
 三陸の海は、季節ごとに実に多彩な表情をもっています。その分おいしさも多岐にわたります。島香尚さんは、その食べ頃の海の幸を、消費者が食べやすいように半調理し、新鮮な冷蔵品あるいは冷凍品として出荷しておられます。秋なら、生さんまは丸ごと氷詰めのほか、ひと手間加えて田舎煮にして冷凍で。秋サバはおなかを開いてワタを取って氷詰め、生メカジキはすぐに使える切身を冷凍で。鹿の子に切り目を入れたイカ切身や、三陸産の帆立・イカ・エビのシーフードミックス、衣をつけたカキフライなども人気です。
 味のよい鮮度のまま、よりおいしくなるよう少し手を加えてから届けてくれる丸友しまか。会員みんなが気さくに付き合える“うちの魚屋さん”として、オルターになくてはならない存在です。

丸友しまか(有) 
きれいな海のおいしい安全な天然鮮魚
 
 主に宮古湾の定置網や三陸沖合のトロール漁船から水揚げされた魚を地元漁協から直接仕入れ、5人のスタッフで内臓をとるなど半調理したものを、冷蔵や冷凍で出荷しています。養殖物・輸入ものには一切手を出しません。また加工に際して、酸化防止剤など一切の薬品を使用していません。
 鮮魚は荒天などのときは中止となることもありますが、あらかじめご了承下さい。冷蔵(生もの)以外に、無添加冷凍品なども取り扱っています。冷凍魚のほうは遅配・中止が少なく、安定しています。冷凍魚は、漁期の間その都度加工して冷凍していますが、魚種によっては次のシーズンまでの在庫を置くものもあります。その場合、-30℃で、かつ真空パックでの貯蔵のため酸化の心配はありません。

●市販の魚の問題点
◎瀬戸内海や大阪湾など内水面の魚は、ダイオキシンなどの汚染が心配
 人体へのダイオキシン汚染の6割は魚からと考えられています。日本国内ではベトナム戦争の枯葉剤作戦に使用された2.4.D(オレンジ剤)に含まれていたダイオキシン量の少なくとも3倍以上のダイオキシンが、水田の除草剤CNPなどの不純物としてすでに散布されています。この他、塩素でパルプを漂白している製紙工場の廃液やゴミ焼却場などからも排出されています。
 そのため、大阪湾のような都市周辺の海域や瀬戸内海のような閉鎖的海域の魚、特に食物連鎖の後方に位置する肉食魚は汚染濃度が高くて要注意です。
◎危ない養殖魚
 また、養殖魚も要注意です。なぜなら、養殖魚は畜産同様、そのエサに含まれる抗生物質を始めとする飼料添加物や、魚網などに防汚剤として使用される有機スズ化合物TBTOや、病気の予防薬として使用されるホルマリンなどの汚染が問題となっていますし、奇形魚が発生していますが、こういう魚は中央市場を通らず、直接スーパーで切身となって売られているからです。
 現在養殖されている魚種は、タイ、ハマチ、ヒラメ、フグ、マグロ、ウナギ、エビ、ヒラアジ、サケ、マス、アマゴなど多岐にわたっています。
◎冷凍魚にも薬品が
 冷凍魚は冷凍されるだけで薬品は使われてはいないと思っている人が多いかもしれません。また遠洋ものは汚染が少ないと思っている人が多いかもしれません。しかし、こうした市販の冷凍魚は、これもまた問題が深刻なのです。
 すなわち、まず獲れている海域がラ・アーグ(仏)、セラフィールド(英)の核再処理工場周辺の北海、ヨーロッパ産のような汚染海域から遠く運ばれてくることがあります。顔の見えない外国産はまず要注意です。また魚は冷凍でもすぐに酸化してしまうので、通常は必ずといってよいほど酸化防止剤を使用しています。エビやイカそうめんにはとくに大量に使われます。アジ、サバも油断ができません。その他ゆでたカニにも必ず保存性を高める薬、ゆでたタコも色を鮮やかに発色させる薬…。冷凍魚は化学薬品なしには通常は作られていないのです。
 ちなみに、鮮魚でさえ着色剤で化粧しているケース、冷凍魚なのに鮮魚に見せかけて売るケースもあります。
◎顔の見える安全な魚を
 したがって魚は、海域はもとより、漁師や船がわかっているようなもので、かつ無添加でなければなりません。オルターとしてお勧めできる、安心して食べられる魚とは、きれいな外洋に面した沿岸の天然魚、そして食物連鎖のできるだけ下位に位置するアジ、サバ、イワシ、サンマのような魚、鮮魚のままか、もしくは生産者の顔の見える無添加の冷凍魚ということになります。

ー文責 西川栄郎(オルター代表)ー

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