子どもにこそ使わせたい「天然木・天然漆塗りの箸」

2005年10月3週号

 

子供にとって大切な箸育は、ホンモノの箸で。

「箸は食べもの」と考えて、環境ホルモン、重金属などの心配のない安全なものを。

 箸を使って、まるで色鉛筆のように紙に線が書けることをご存じでしょうか。黒い箸は黒く、赤い箸は赤く紙に書けます。それほど色が簡単に落ちるということです。
 箸にはビスフェノールAのような環境ホルモン、あるいは鉛、カドミウム、ヒ素、水銀などの重金属を含む合成塗料が使われています。
 お子さんが日頃使っている箸先を見て下さい。そのほとんどがかじられているはずです。すなわち、箸に使われる様々な有害物を、子供は食べさせられてしまっていることがおわかりになるはずです。
 そこで、子どもの安全を考えて、有害なプラスチックや合成樹脂塗りの箸をやめようとし、漆塗りの箸を探しても、本来ならば10回~20回近く重ね塗りをして1年以上かけて作っているはずなのに、最後に1回だけ漆を上塗りしたものや、漆に顔料や合成塗料を混合したものでさえ「漆塗りの箸」として市販されています。素人がまともな箸を選びとることは、残念ながら全く不可能とさえ言えるのです。
 すでにデパートなどで高く評価されている兵左衛門では、材料とする木材の製材から漆塗りまで、昔ながらの伝統の技を活かし、気品さえ漂う高級な箸を何百種類も製造されています。

 兵左衛門の箸は、現社長のお父様・浦谷岩蔵さんが大正10年、福井県の伝統産業である若狭塗りの箸作り職人となられたことが原点です。
 1960年に浦谷兵左衛門として製造販売を開始、1980年に息子の浦谷兵剛さんが社長となられました。閉鎖的な若狭の箸の業界の中で、浦谷兵剛社長が革命的ともいえるまっとうな箸作りをめざして一般市場に船出したときから今もずっと、地元ではいわば村八分状態で扱われてきたといいます。
 それでも他には真似のできない技術で、まっとうな箸を作り続けてこられたのは、先代のお父様が、たいへん技量が高く人望も厚く評判のよい箸職人であったため、その技を受け継ぐ多くの弟子に支えられたからこそでした。今では兵左衛門の箸は、日本の箸業界の目標あるいは手本にされています。

食育ならぬ「箸育」
 浦谷兵剛社長は、「箸文化は日本文化の根幹にかかわるほど重要なことで、単なる食べる道具としてだけではなく、子供のしつけ、人間形成にも大きな役割を果たしている」と考えられ、食育ならぬ「箸育」という言葉を提唱なさっています。
 正しい箸使いは自然で美しく、人としての品位を高めます。箸使いが変だと思っても、大人になってから矯正するのはなかなか難しいものです。小さいうちから本物の漆の箸を持たせることで、自覚を促してみてはいかがでしょうか。
 子供でも本物の違いはわかります。手に持ったときの感じがしっくりとくるからです。子供にこそ、本物の箸を与えてあげていただきたいのです。小さいときから自然のぬくもりや食べることの大切さを理解させ、食器を大切に扱うという精神性を育てることが大切です。
 見た目では箸の微妙な重さ、太さの違いがわかりません。良い箸は使う人に自分の手で選ばせるべきなのです。一人一人の手が違えば、選ぶ箸の重さ、太さ、長さが違うのはあたりまえ。お歳を召せば、軽い木の箸が喜ばれます。
 今回の兵左衛門の箸は、超人気品「けずり箸」を主にご紹介します。どこを持っても手にフィットしてすべらない、形、バランス、重さ、素材のどれをとっても優れものの一品です。

兵左衛門の、職人の魂のこもった漆塗りの箸
◆けずり箸 ~手にフィットし、すべりません~
数多い品揃えの中でも、たいへん人気のある製品です。

・材料
黒檀…東南アジア原産
紫檀…インド原産
漆…天然漆。化学塗料を一切混合していません。
・製造方法
①原木から切り出し木地を作ります。製材→玉割→大割→小割
②やすりで箸の形に削ります。
③漆を塗り重ねます。
④箸の素地に生漆を何度も擦り込みます。
・天然漆の特徴
 漆は、漆の木から採取した樹液を原料にしています。漆掻き職人と呼ばれる人々が、鎌やヘラといった昔ながらの道具を使って樹皮に傷をつけて、染み出してくる樹液を採取するという、気の遠くなるような作業に支えられています。
 漆には「耐水性、防腐性に優れている」「酸、アルカリ、塩分、アルコールに侵されない」という特徴があります。天然漆は、有害な重金属類や合成化合物を含みません。

◆梅小枝箸 うるし塗 ~自然の風合いとぬくもり感~
 梅の里の梅園で剪定した天然の梅の小枝をじっくりと乾燥させ、ひとつひとつていねいに手で削っています。自然の風合いとぬくもりを感じられます。お客様用や菜箸、お取り箸におしゃれです。

市販の箸の問題点
 安い市販の箸はプラスチック、ウレタン塗装、環境ホルモンのビスフェノールAを溶出するエポキシ塗装などのものです。これらはその合成塗料や材質に含まれる化学物質による有害性が心配されます。そこで漆塗りなら大丈夫かというと、ほとんどが全く安全なものではありません。
 一般に使用される漆のほとんどには「発光性をよくする」あるいは「すべりをよくして生産効率を高める」などの理由から、有害物質を含むさまざまな合成化学物質が添加されています。これらの加工漆から毒性の強い鉛、カドミウム、ヒ素、水銀などの有害重金属が検出されています。
 また、その漆にほとんどはさらに合成塗料を混ぜていたり、何回かの合成塗料塗りの最後の1回だけに漆を使うにとどめていたりしています。
 漆製品には食品衛生法の規格試験を受けなくてもよいことになっているため、このようなことが野放しとなっています。すなわち、高価な漆に混ぜものをしていないものや100%漆だけで仕上げている箸は、極端でなく兵左衛門以外ではまずお目にかかれないと言っても過言ではありません。箸の材料表示にも嘘が多く、南天などとほとんど実際にはあり得ない表示をしているものが後をたちません。

         ー文責 西川栄郎ー

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