にんじんジュース健康法

2004年10月5週号

 ガンを始め、様々な難病の患者を救っておられる、西式甲田療法の甲田光雄医師は、患者に勧めている少食健康法の中で赤汁(にんじんジュース)および青汁(野菜ジュース)を非常に有効な方法だと考えておられます。福島学院大学福祉心理学教授、付属メンタルヘルスセンターの星野仁彦医師は、自らが大腸ガンで余命半年と宣告され、そのガンをドイツの医師マックス・ゲルソンが1930年代に提唱した、当時でも末期ガンの半分は治したという実績を持つ「ゲルソン療法」により克服なさった経験から、にんじんジュース健康法を提唱なさっています。野菜ジュースや果物ジュースは、そのゲルソン療法の中心的な方法です。
 1985年にアメリカで初版が刊行され、その後世界的な大ベストセラーとなり、パブリッシャー・ウィークリー誌の世界の名著25冊の中に『聖書』と共にその1冊と選ばれ、その出版史上最も優れた健康とダイエットに関する書籍と評価された、ハーヴィー・ダイヤモンド、マリリン・ダイヤモンド著『ライフスタイル革命』で基本理念とされている「ナチュラルハイジーン」という自然健康法でも、果物ジュース、野菜ジュースの効用、とくに朝食の代わりに用いることの重要性を指摘しています。様々な生活習慣病の克服に有効であることを多くの医師が認め、また美しく健康なダイエットにも有効で、世界のトップモデルの間でもこの健康法を実践する人が増えています。
 エドワード・ハウエル医博によって1985年に発表され、全米で大きな反響となり、今日の慢性病に対する「酵素療法」の素となった「酵素栄養学」においても、治療の基本は生の食物や生のジュースです。ハウエル医博は、若干26歳の時に勤務医として配属された「リンドラーサナトリウム」において、当時の医学部では学ぶことのない治療方法を目の当たりにしました。それは、新鮮な旬の野菜や果物を中心に、よく考えられた蛋白質の食品、朝食はもっぱら生のジュースという栄養療法で、緊急時以外には薬物を極力使用しない方法をとっていたのです。驚いたことに、当時の慢性病や変性疾患で苦しんでいた患者が、この栄養療法によって数ヶ月も経たないうちから、健康状態が改善されていったのです。それから60年以上に及ぶ、数多い臨床経験と膨大な研究を通して、「食物酵素」を徹底的に補うことが健康回復・体質改善・寿命の延長の秘薬と考えた「酵素栄養学」を発表したのです。
 カタログ2003年12月第3週で紹介した、倉田大嗣先生などの水の研究でも、生命体の細胞の中にある生命水は、活性化していることが分かっており、これらを、火を通さないで、生で摂取することの重要性が分かりつつあります。
 今回は、ガン・アトピーなどの生活習慣病、美しく健康なダイエットなどに味方になってくれるにんじんジュースをご紹介します。

にんじんジュース・野菜ジュースの効能
 野菜は緑黄野菜を始め、全般に太陽の紫外線から発生する活性酸素を自らの体内にある抗酸化物質(SOD)で無害化しながら生きています。その抗酸化物質としてビタミンC、ビタミンE、カロチノイド、フラボノイド、ポリフェノール、必須脂肪酸(オメガ3や6などの不飽和脂肪酸)などが知られています。
 だから野菜ジュースに健康パワーがあるのです。野菜を摂るのに、ジュースなら大量に摂っても無理なく消化・吸収され、身体への負担はありません。「正食」を行っている人に却ってガンが多いのは、煮すぎてアルカリが強くなった野菜や未消化の玄米が原因で、慢性的に胃腸に傷をつけてしまうからだという指摘があります。
 野菜は生で摂ることがお勧めです。にんじんにはβ-カロチン他数種類のカロチノイドが含まれており、これら複数のカロチノイドの摂取に、ガンの予防効果があると考えられています。にんじんなら通年確保が可能で、オルターのように甘くておいしいものなら飲みやすいので、ジュースに最適です。生きた酵素や生命水をそのまま摂取した方がよいので、手作りで毎回新鮮なものを飲むことがポイントです。加熱処理をせず、旅行先などでやむをえないとき以外は既製品の缶詰なども利用しないのがよいでしょう。
 「正食」などで生の野菜や果物が身体を冷やすという表現がありますが、科学的根拠はありません。生のにんじんジュースにとくに副作用があるとは考えられませんし、常識的な適量の範囲なら、全く問題はありません。
 このような健康法は、いずれにしても自己責任であることをわきまえて下さい。通常には、朝食にコップ1杯ずつのにんじんジュース、青汁(青ドロ)はお勧めです。毎日飲み続けるものですから、農薬を使用していない野菜、果物にすることは言うまでもありません。
 西式健康法やナチュラルハイジーンでは、午前4:00~正午までは、主として排泄の時間帯で、身体に余分な食べ物の汚れを残さないためには、原則として朝食を摂らず、果物や野菜のジュースだけにすべきだと提唱しています。
 ただし、低血糖症の場合もありますし、成長の盛んな子供、とくに10歳以下の場合は朝食やおやつが必要ですので、これらジュース以外にも工夫して、ご飯、味噌汁、ナッツ類などを組み合わせて下さい。

にんじんジュースの作り方
 にんじんは適量、ジューサーで作ります。家族が大勢の場合はパワージューサーがお勧めです。
 にんじんにはビタミンCを分解する酵素がありますので、にんじんジュースには必ず柑橘類のゆず(わが家ではゆず酢1.8Lを使っています)、スダチ、カボス、レモン、夏みかん、温州みかんなどを少々一緒に摂取しないといけません。
 オルターのにんじんのように甘くておいしいものはよいのですが、市販のような苦くてまずいものしか手に入らないときは、りんごかりんごジュースを加えると飲みやすくなります。
 にんじん以外にも、果物などのジュースを楽しむことも有効です。

青汁(青ドロ)
 毎回、そのとき手に入る5種類くらいの有機緑黄野菜を適量ミキサーの中に入れ、水を加えてミキシングし、青汁、もしくは青ドロを作ります。おいしく飲むコツは塩(ブラックソルトなど)やりんごジュースを少量加えることです。
 ジュースに向く野菜はパセリ、しそ、サラダ菜、三つ葉、水菜、しろ菜、小松菜、ほうれん草、チンゲン菜、チシャ、サニーレタス、グリーンリーフ、レンコン、にんじん、レモン、りんごツルムラサキ、モロヘイヤ、菜花、芽キャベツ、ケール、キャベツ、ハイクロップ、うまいな、アブラナ他

   -文責 西川栄郎-

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