子どもに優しいティームセブン社の学習机

2002年1月4週号

 

無垢の木製家具のショールーム大ス樹の2回目のご紹介です。
 今回はオーストリアの、世界で初めて「自然の住まい」を提案したティームセブン社の学習机です。ドイツではバルト海の油田事故、酸性雨、チェルノブイリの原発事故などを契機に、国民の環境意識が大きく高まりました。ティームセブン社も会長エアウィン・ベルクハマーさんの夫人が、室内環境汚染物質に悩まされていたことがきっかけで自然の家具作りを始め、1982年より製造、販売を開始なさったのでした。大ス樹、山本容子オーナーがティームセブンの家具に出会われたのは、工務店をなさっているご主人の関係で、ティームセブン社日本代表ペーター・マテーさんと出会われたことからでした。大ス樹では、ティームセブン社の家具を展示なさっていますので、家具に関心をお持ちの方は見学に出かけてみられてはいかがでしょうか。

 「自然の住まい株式会社」代表取締役。
 身体に無害な自然素材にこだわった、
 オーストリアの家具メーカー「ティームセブン」
 の日本代表。

ティームセブン社
 ティームセブン社の仕事は、木材の伐採に始まり、生活や仕事のための環境全体を設計、創造することまでのすべてに及んでいます。自然素材のみを使用することで、室内汚染物質を排除した人間らしい住環境を作り出すことを目指しています。
 ティームセブンが素材に選んだのは、ドイツアルダー材。飽きのこない美しさと強さを持った広葉樹です。ドイツアルダーは無垢材として伸縮や狂いが少ない、加工が容易で、木油や蜜蝋が染みやすい、日光による色あせが少ない、色合いが美しい、など多くの長所を持っています。アルダー(ハンノキの仲間)は、切るとその株から数本の新しい芽が出て、約20年で家具材として充分な大きさに成長するので、伐採による乱開発が進む恐れがありません。また、水に強く、住材としても有名で、「水の都ベネチアはアルダーが支えている」とまで言われるほどです。
 ティームセブン社では、ホルムアルデヒドだけではなく、一切の有害な化学物質を含む接着剤や化学塗料を使用しません。木油や蜜蝋で表面処理され、木は生きて呼吸しています。そのため、湿度の調整もしているのです。接着剤は、有害物質を含まない酢酸系木工ボンド、ポリビニールアセテート(PBA)を使用し、超音波処理で接着しています。溶剤は水です。オーストリアの伝統的な技術や接合法を取り入れ、木の性質を活かし、丈夫で価値の高い家具造りをなさっています。蝶番、鍵、引き出しのレール、フレームの接合部まで、木を駆使した造りになっています。また、人間工学に基づいた、身体に添う形に作られています。丸みを帯びたデザインは、印象の優しさだけでなく、危険な角をなくす配慮です。傷がついた場合でも、お手入れセット(別売り)のサンドペーパーや蜜蝋で簡単に修理ができます。

コンビネーション学習デスク
 高さと机面の角度が調整できる傾斜のついた甲板は、背筋を伸ばして姿勢よく学習するのに役立ちます。高さが調節できる椅子との組合わせで、さまざまな年齢にわたって使うことができます。
 木目模様の木の優しさは、子どもの感性を磨きます。彫り込み把手も安全設計。引き出しの木製レールは重いものを入れて、引き出しても大丈夫です。引き出しの収容力も充分です。筆記用具による汚れや擦り傷は、サンドペーパーで平らにし、蜜蝋を塗れば元通り。へこみ傷はスチームアイロンを当てると、潰れた木が浮いてきます。傷をつけても自分の手で修復できれば、家具への愛情も生まれ、物を大切にすることも自然に学べます。

市販の家具の問題点
 建材や家具の合板には、その塗料や接着剤などによる揮発性有機化合物(VOC)など多様な化学物質が使われています。なかでも、発ガン性のあるホルムアルデヒドが問題となっています。低ホルムアルデヒドや、ホルムアルデヒド以外の有害なものを使っているものも問題となります。一般的な接着剤の溶剤に、ベンゾール、トリオール、ホルマリンが使われて、その70%が室内に放出されることになります。これが不眠症、アレルギー、呼吸困難、うつ病、頭痛、あるいは血液流や遺伝子にまで影響を与えると言われています。
 また、ウレタン塗装の家具の表面や合成繊維などではストレスの原因となる静電気の発生もあります。

文責:西川栄郎

ページの先頭へ