人にやさしい防虫せんこう「菊花せんこう」
2002年6月2週号
戦前の蚊取線香には、キク科の多年草ジョチュウギク(除虫菊)が原料に使われていました。ジョチュウギク成分、天然ピレトリンは昆虫に対し、即効的な殺虫効果がありながら、人間など温血動物の体内では速やかに解毒されます。さらに昆虫には抗体を作らせない特徴を持つ植物です。
除虫菊の原産地はバルカン半島などですが、明治から戦前までは日本でも瀬戸内海の島などでたくさん栽培されていました。今では、こういう栽培風景はなくなってしまいました。
現在の蚊取線香では、人にやさしい除虫菊に代わって、ピレスロイド系の農薬(アレスリン、ピレトリンなど)が使われています。ピレスロイドには神経毒性、発がん性が確認されています。
ピレスロイドを吸入した場合、くしゃみ、鼻炎、咳嗽、悪心、頭痛、耳鳴り、昏睡、皮膚炎、アナフィラキシーショックなどの症状が出ることがあります。防虫スプレーを平気で使っている人もいますが、その主成分はピレスロイド系、有機リン系(フェントロチオン、DDVPなど)やカルバーメート系(プロポクスルなど)の農薬で、毒性が大変心配なものばかりです。また、マット式や液体式の電気加温器は、有機リン系やピレスロイド系の農薬を蒸発させるしくみです。
何もこのような危険な農薬を使用して、蚊と一緒に人までも被害を受けるといったことはやめたほうがよいと思います。 また、最近の蚊は殺虫剤に対して、昔の何万倍もの耐性を獲得しているものが増えているのです。
蚊の安全な対策は、まず網戸です。また、家の周りの水溜りに金魚やメダカを飼うというのもよいでしょう。寝るときには蚊帳(カタログ1998年6月第3週)を使うことです。
部屋の中に入ってきた蚊をとるのには、防虫網(蝶々とりの白い網、柄の棒を短くしておけば部屋中でも振り回しやすい)が有効です。手で叩くのは、逃がしやすいからです。窓際に、蚊が嫌う臭いのする鉢植えの草、ハーブを置くのも有効です。
アウトドアや畑仕事などでは、今回ご紹介する防虫せんこうや、ハーブのエッセンシャルオイルのスプレーが有効です。
なお、蚊に刺されたときにはアロエやネギの汁をつけるとかゆみが治まります。
(株)りんねしゃの菊花せんこう
天然のキク科植物を主成分とした防虫せんこうです。主原料は中国原産植物で防虫草と呼ばれ、現地では昔より蚊遣りとして使われているものです。
殺虫力は弱いのですが、忌避効果があり、人にもやさしいせんこうです。また、除虫菊についても中国で自主ルートで栽培を始めており、これからの取組みが楽しみです。
りんねしゃが原料を持ち込んで、昔から除虫菊で蚊取線香を作ってきたメーカーに、委託加工なさっています。
※りんねしゃは昔から仲間の共同購入団体で、代表の飯尾純市さんが、菊花せんこうに取組んできておられます。
◆原料 特徴
除虫草(中国産)…………………忌避効果、芳香効果
除虫菊粉末(中国産)……………殺虫効果
除虫菊粕粉(ケニア産)…………忌避効果
除虫菊茎粉(中国産)……………忌避効果
タブ粉(国産)……………………結着効果
木粉(国産)………………………燃焼剤
でんぷん(国産)…………………結着剤
ソルビン酸 微量(0.004g)… 防腐効果(食品添加物)
食品として摂取するわけではないが、防腐剤ソルビン酸の使用は、基本的には不適正であると認識し、排除する努力を続けます。ただし、一般に用いられる防腐剤リハイドロ(WHOにより危険物質に指定)よりは安心できます。
◆製造工程
①原料検査 ②秤量 ③混合 ④練合 ⑤押出 ⑥打抜 ⑦乾燥 ⑧包装
11~3月頃、線香が自然乾燥できる期間に製造し、芳香性を高めています。
パック:ポリプロピレン、 箱:100%古紙再生未晒紙
医薬部外品の蚊取線香ではなく、防虫線香として販売される理由は、国の定める殺虫成分基準量に疑問があり、より人体にやさしく、環境にも配慮する自主基準を目指されているからです。医薬部外品の殺虫成分が強すぎるのではないかと判断されています。
合成殺虫剤を使用しないで、天然植物原料だけですが、忌避効果については公的機関にて吸血阻止実験を行い、使用上の効力があることを証明されています。
安全の基準には責任者の所在と、原料確保から製造販売・消費まで一貫して把握できる体制が必要であると考えられています。りんねしゃでは、線香は販売だけではなく、主原料栽培から管理体制を持ち、全ての段階に責任を持てる流通経路があり、安心と安全を優先する方針を心掛けられています。
◆特徴
主原料は中国原産植物で除虫草と呼ばれ、現地では昔より蚊遣りとして使われており、忌避効果があると同時に、アロマテラピーの癒し効果があり、芳香性にも優れた植物です。また、除虫菊の粉末には、さらに強力な忌避力があり、心地よい芳香性と忌避力を持つ、人にもやさしい線香です。
合成ピレスロイド系殺虫成分など、不安な農薬類を添加していない植物原料のみの製品です。合成着色剤や染色剤など使用していないので、緑色ではなく植物粉末の原料色(茶色)のままです。植物の収獲時期や乾燥・粉末状態により色合いが違いますが、無着色による商品影響はありません。
◆用途
薫煙方式で、お部屋の中での防虫、蚊遣り製品としてお使いいただけます。
消臭・芳香製品としても機能を果たし、夏期に限らず通年のご使用にも適しています。
◆使用方法
線香立て具の抜打ち部分を起こし、線香の中心の穴に水平に差し込んで下さい。
薫煙するときは、灰皿または適当な缶の中に置いて下さい。
折れた線香は、線香立て具の切り込みに、線香を強く押してはさんで下さい。
◆燃焼時間
無風状態で、1巻で約6時間ほど使用できます。
◆使用上の注意
線香は組み合わせの2巻から、必ず1巻ずつ離して使用して下さい。
1ヵ所以上には絶対に火をつけないで下さい。
線香立ての先端部分や、金属の薄いところで手などを切らないように充分注意して下さい。
線香立ては陶磁器か金属製の容器の上に置いて使用し、紙箱やプラスチックの容器など燃える危険性のあるものは使用しないで下さい。
閉め切った部屋で長時間使用せず、換気のよい場所で風上に置いて使用して下さい。
使用中の線香は燃えやすいもののそばに置かないで下さい。
ふとんや衣類などがかぶらないように、充分注意して下さい。また、線香が倒れないように注意して下さい。
使用後の灰はその都度捨てて下さい。
灰が残ったまま使用すると、蓄熱や異常燃焼の原因になります。
乳児の枕もと近くでは使用しないで下さい。
アレルギー体質の人は使用に注意して下さい。
◆有効期間
3年間(シュリンク包材の状態に於いて)
◆保存方法
直射日光を避け、湿気の少ない涼しい場所で、小児の手の届かないところに保管して下さい。保存状態が悪いとカビが発生する場合があります。
市販の蚊取線香、防虫グッズの問題点
蚊取線香、防虫スプレー、マット式や液体式の電気加温器などは、
合成ピレスロイド系農薬…アレスリン、ピレトリン、フタルスリン、レスメトリン、フェノトリン、プラレトリンなど
有機リン系農薬……………フェニトロチオン、マラチオン、DDVPなど
カルバーメート系農薬……プロポクスルなどが使われています。
これではいくら食生活で無農薬に気をつけていても、ダメだということになります。
-文責 西川栄郎-