末広昆布(3) 昆布豆
2002年6月4週号
かつて、岩手県下閉井郡岩泉町有芸地区は、長寿村として知られていました。長寿の理由としては、野菜、雑穀、海藻などを常食する日本の伝統食、中でも大豆と海藻の組み合わせを自然と食べられていたことが考えられています。
海藻には、血管壁の悪玉コレステロール値を下げる働きのある食物繊維が豊富です。また、大豆には悪玉コレステロールを防ぐレシチンや不飽和脂肪が豊富です。
この大豆と海藻の組み合わせは、それらの相乗効果で動脈硬化の予防に良いことが知られています。また大豆には、サポニンという界面活性を持つ成分が多く、いきなり油で調理しても堅いままの海藻でも、大豆と一緒に調理すると、調味料などの脂肪分もよく浸透して柔らかく煮えるとともに、旨みがよく染み込むのです。鍋料理などに昆布などの海藻を使うことは、単にだしを取るという以外に、豆腐や揚げなど大豆食品との相乗効果を期待できる組み合わせであるということです。そして、身体によいこのような組み合わせを、人は自然と舌でおいしく感じているのです。したがって、大豆と昆布を煮た昆布豆がお弁当のロングセラーの定番の一つであることは、偶然ではありません。しかし、近頃ではおいしい昆布豆や昆布の佃煮に出会うことはなくなりました。低コストにするために、安くてまずい昆布を使い、まずくて有害な調味料を使っているからでしょう。
そういうわけで、以前からおいしい昆布の佃煮を作っていただけるメーカーはないものかと探しておりましたところ、カタログ2002年5月第4週でご紹介したとろろ昆布の生産者、㈱末広昆布さんに、オルターオリジナル仕様の昆布佃煮をこのたび作っていただけることになりました。その一番目の製品として、昆布豆をご紹介します。
㈱末広昆布のオルターオリジナル昆布豆
原料
・日高昆布(天然物)
・大豆
金沢農業の井村辰二郎さんの無農薬大豆
品種:エンレイ大粒(カタログ1999年10月第2週表紙参照)
・種子島甘蔗分蜜糖(カタログ2000年4月第1週表紙参照)
・三河みりん(カタログ1998年12月第1週表紙参照)
・赤穂の天塩(カタログ2000年4月第4週表紙参照)
・三河しろたまり(カタログ1999年5月第3週表紙参照)
製造工程
大豆 昆布
①選別 ①裁断
②水漬 ②異物除去
③アク抜き ③洗浄
④本煮 ④調味煮込
⑤調味浸漬 ⑤液切り
⑥液切り ↓
↓ ↓
計量、包装、調味液
殺菌
食品添加物の使用はありません。
昆布豆
市販の昆布の佃煮の問題点
大豆には、ポストハーベスト農薬、遺伝子組換えなどの問題があります。
昆布は、産地などによっては、安いがおいしくないものがあります。また、佃煮にする場合は昆布そのものでは、だしをとった残りからでも使われることも多いのです。これら味のない昆布をごまかして利用するためには、アミノ酸(グルタミン酸ソーダー)などの化学調味料(脳障害)や蛋白加水分解物(発がん性)あるいは酵母エキス(原料の輸入穀物や製造工程が問題)などによる味つけが不可欠ということになります。甘味としてはステビア(変異原性)、ソルビトール、トレハロース、甘草、砂糖が使われています。
照りを出すために、還元水飴(異性化糖、遺伝子組換え、ポストハーベスト農薬)、麦芽糖(遺伝子組換え、ポストハーベスト農薬)などが使われます。醤油や醸造酢も、原料にポストハーベスト農薬や遺伝子組換えの問題があります。
その他、着色料(カラメルなど)、酸味料、増粘多糖類(カラギーナンなど)、ミョウバン、グリセリンエステルなどの食品添加物が使われています。
昆布豆には鰹節エキス、魚介エキス、しいたけエキス、ポークエキスなどが使われていますが、いずれも原料や製造工程に問題があります。
文責:西川栄郎