2011年12月4週号 岩崎正好さん(写真中央) |
有明海初摘みのりを「味つけのり」に
のり本来の甘みをもつ初摘みのり
香川県高松市にある海苔会社、岩崎食品(株)岩崎正好社長は、オルター向けに特別仕様の海苔製品を提供しています。原料の海苔は最高級の九州有明海産の一番摘み、初摘みのりに限定しています。初摘みのりは歯切れがよく、口の中でとろけるようにやわらかく、フワーとしていて、たいへん風味のある、のり本来の甘みをもつ、おいしいのりです。しかし、原藻が柔らかいため、破れやすく、加工時のロスが生じやすく、加工業者泣かせののりです。2番摘み以降になると、だんだん硬くなりガサついてきます。
1番摘みののりは酸処理に頼らなくてもよいので、その意味でも評価できます。
ミネラル豊かな干潟で育つ
有明海産ののりが優れているのは、ミネラルなどの栄養が豊富な干潟に育っているからです。近年、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海などでは、国による下水処理の規制が進み、真水に近い排水が流されるようになっています。のりは本来、山からのミネラル豊富な海水で育つもので、かつてはおいしいのりの産地だったこれらの地域では、のりの品質が低下しています。
おいしくなる支柱張り
有明海の中でも、のり養殖の方法に「支柱張り」と「浮き張り」の2種類があります。岩崎食品では、支柱張りで養殖を行う佐賀県産や福岡産を扱います。
支柱張りとは、有明の干潟に支柱を立てて、それに網を張り、満潮時には海水につかり、干潮時には日に干されて、のりが育つものです。浮き張りとは、浮きに吊るしたままですので、ずっと海面下でのりを生長させるという養殖方法です。浮き張りでは、のりの色が黒くなり、高級感が出ますが、味は日光の影響を受ける支柱張りの方がおいしくなります。
オルター向けの有明海産ののりは、本来の甘みがあり、磯の香り・風味もすぐれています。
初摘みのりの産地・九州有明海 |
こだわりの味付のり
岩崎食品では、この最高級の有明産初摘みのりを原料に、シンプルな焼きのりに加えて、かめびしの醤油などでこだわりの味付のりも作っています。関東では、味付けのりは安物ののりを調味料でごまかしたものだという印象があり、そのため焼きのりを多用する傾向があります。関西では、のりといえば味付のりが定番です。いずれにせよ、市販ののりは安いのりを粗悪な調味料で味付けをしているというのは事実です。ホテルの朝食などで驚くほどまずい味付のりが出されています。
岩崎食品の味付のりは、できるだけシンプルな原料を選び、のり本来の旨みを活かしています。羅臼昆布と枯かつおでだしをとり、じっくり煮込んで、にがり醤油、みりん、甘蔗分蜜糖、赤穂の天塩で仕上げています。
農作物の栽培水準を表示するために、オルターでは独自に下記の区分で生産管理の違いを表示しています。
なお、全ての取扱品目は、有機栽培化への3年以上の努力を経た圃場で栽培されたものです。
※オルター農作物栽培基準に準じ、乾物・加工品の一部も表示を始めます。
3年以上有機努力し、JAS認証も取得。農薬・化学肥料の使用はない。
3年以上有機努力し、農薬・化学肥料の使用はないが、JAS認証は取得なし。
3年以上有機努力し、JAS認証も取得していて、化学肥料の使用なし。ただし、JAS別表農薬を使用しています。
3年以上有機努力し、化学肥料の使用なし。ただし、JAS別表農薬を使用しています。JAS認証は取得なし。
3年以上の有機努力を継続中ですが、やむなく一部に化学肥料や農薬を使用しました。
3年未満の有機努力で転換中。今回の栽培には化学肥料の使用なく、農薬不使用か、もしくはJAS別表農薬を使用していることがあります。
放射性セシウム値(134と137の合算)検出下限値1Bq/kgの検査で放射能測定をした結果、
「不検出」が確認された品ものに表示しています。(Not Detected =「不検出」)