2020年7月1週号 健一自然農園の伊川 健一代表 |
人、農業、里山を守る自然栽培三年晩茶
将来性いっぱいのお茶づくり
自然茶師と名乗る、健一自然農園の伊川 健一代表は、標高400〜600mの冷涼な気候の大和高原に点在する茶畑、いずれも周囲を森で囲まれた理想的な茶畑において、農薬、化学肥料、有機肥料を使わない自然栽培を営んでいます。肥料的なものは自然木の落葉、茶樹の落葉程度です。30ヶ所の茶畑の総面積は11haもあります。アルバイト、研修生を含め、10名のスタッフが働いています。それらの畑のほとんどはもともと耕作放棄された茶園で、もし伊川 健一さんが預からなければ山に戻っていってしまうはずのものでした。
伊川さんはその茶畑から収穫された茶葉から三年晩茶(神農茶)をはじめ、釜炒り茶、ほうじ茶、煎茶、和紅茶、烏龍茶、抹茶など実に多種多様なお茶を製造しています。
新茶、煎茶に特化して、一時期だけ忙しい茶農家とは異なり、多様なお茶を作ることで、年中適度な労働があり、雇用も安定しています。茶農家として画期的な経営システムにもなっています。
自然農法との出会い
伊川 健一代表は、奈良県大和郡山市でレストランを営む家の長男として生まれました。おばあちゃんが毎日作る茶がゆ、おじいちゃんが相撲を見ながらいれる、温かくて渋いが喉の奥に甘味が残るカリガネ茶、レストランの定食につけるアッツアツの玄米茶を飲んで育ちました。
15歳の時、自然農法家 福岡 正信さんをNHKの番組で見て衝撃を受け、人生の方向性を決定づけられました。福岡さんは50年間山にこもり、自然農法の法則をみつめ続け、自然農法を編み出し、世界中の砂漠の緑化に取り組む、現代の老子のような人で、その志を引き継ぐことが自分の生きる糧となると思いました。
高校生の時には自然農の川口 由一さんの主催する赤目自然農塾(三重県)に通い、スタッフとしても働きました。
おそらく日本一
自然栽培の茶畑の面積、種から育てる実生自然栽培の面積、販売している自然栽培茶の販売量、いろんなお茶を切れ目なく扱うことで荒茶の工場の稼働率、作っているお茶の種類、他地域・企業・行政・大学との連携数、いずれもおそらく日本一の農場です。
日本全国にある1万haの耕作放棄茶園の活性化が夢です。何年も放置され、農薬や肥料の影響が抜けている茶園は自然栽培にはむしろ向いているのです。
農作物の栽培水準を表示するために、オルターでは独自に下記の区分で生産管理の違いを表示しています。
なお、全ての取扱品目は、有機栽培化への3年以上の努力を経た圃場で栽培されたものです。
※オルター農作物栽培基準に準じ、乾物・加工品の一部も表示を始めます。
3年以上有機努力し、JAS認証も取得。農薬・化学肥料の使用はない。
3年以上有機努力し、農薬・化学肥料の使用はないが、JAS認証は取得なし。
3年以上有機努力し、JAS認証も取得していて、化学肥料の使用なし。ただし、JAS別表農薬を使用しています。
3年以上有機努力し、化学肥料の使用なし。ただし、JAS別表農薬を使用しています。JAS認証は取得なし。
3年以上の有機努力を継続中ですが、やむなく一部に化学肥料や農薬を使用しました。
3年未満の有機努力で転換中。今回の栽培には化学肥料の使用なく、農薬不使用か、もしくはJAS別表農薬を使用していることがあります。
放射性セシウム値(134と137の合算)検出下限値1Bq/kgの検査で放射能測定をした結果、
「不検出」が確認された品ものに表示しています。(Not Detected =「不検出」)