2020年9月1週号 (株)ココウェルの水井 裕代表 |
ココナッツの花蜜のスピリッツ「ランバノグ」
伝統の酒を守って、民衆の生活を守る
(株)ココウェルの水井 裕代表は、公正な民衆貿易、フェアトレードで、フィリピンの人々の自立支援の活動を行っています。その活動はオルターカタログ2013年11月5週号などで既にご紹介しています。
そのココウェルが取り組むフィリピンの伝統的なお酒「ランバノグ」のご紹介です。
昨年この「ランバノグ」に毒性の強いメタノールが混入されたニセモノによる事件が発生し、死者も出ました。それが原因でフィリピンの若者たちの「ランバノグ」離れが起きました。そのためココナッツの花蜜を集める貧しい農家の生活が困窮しています。ココウェルが「ランバノグ」を扱う理由は、農家の生活を守ることと、「ランバノグ」の伝統を守るためです。
たいへんおいしい高級スピリッツ
「ランバノグ」とは、フィリピンの伝統的なお酒です。ココナッツの花蜜を発酵させたお酒を蒸留したスピリッツ(蒸留酒)です。アルコール度数が40度以上あり、後味にほのかな甘さがある香りで、口にした瞬間、舌でもほどよい甘さを感じます。喉を通る瞬間、身体の中でカッとくる熱さと甘い香りのギャップが魅力のひとつです。飲みやすくてたいへんおいしく、おしゃれなお酒です。糖質はゼロのヘルシーなナチュラルスピリッツです。
穀物を糖化して、発酵・蒸留した「ジン」「ウオッカ」、糖蜜を発酵・蒸留した「テキーラ」「ラム」が四大スピリッツと呼ばれていますが、「ランバノグ」はさらに高級なココナッツの花蜜から作られるスピリッツです。
フィリピンのラグナ州やケソン州では昔から伝統的にランバノグが作られ、大衆のお酒として広く祭りやお祝いの席で飲まれてきました。
そのままロックやソーダ割り、カクテルベースにも最適、さまざまな飲み方が楽しめます。
撮影スタッフ、水井代表(左から2番目)、農家の皆さん |
無農薬の花蜜が原料
ココウェルが扱う「ランバノグ」は、フィリピンケソン州で作られています。ケソン州は代表的なココナッツの産地です。広大なココナッツ農場が広がっています。
「ランバノグ」の原料となる無農薬のココナッツの花蜜(やしの花蜜)は、ココナッツシュガーの原料にもなり、すぐに煮詰めて結晶化するとシュガーになり、発酵させて蒸留すると「ランバノグ」になります。ココナッツの花を包む苞(ほう)の先端を切り、ココナッツの花蜜がポタポタと落ちてきたところを竹筒やプラスチック容器などで受け取ります。“Mangan garit(マンガンガリット)”と呼ばれるココナッツの木登り職人が1日に3〜4回集めて回ります。
その後、自然発酵させた花蜜を単式蒸留器「銅製蒸留器アランビック」で2回、およそ6時間かけて蒸留し、「ランバノグ」を作ります。もちろん添加物などは一切使いません。
農作物の栽培水準を表示するために、オルターでは独自に下記の区分で生産管理の違いを表示しています。
なお、全ての取扱品目は、有機栽培化への3年以上の努力を経た圃場で栽培されたものです。
※オルター農作物栽培基準に準じ、乾物・加工品の一部も表示を始めます。
3年以上有機努力し、JAS認証も取得。農薬・化学肥料の使用はない。
3年以上有機努力し、農薬・化学肥料の使用はないが、JAS認証は取得なし。
3年以上有機努力し、JAS認証も取得していて、化学肥料の使用なし。ただし、JAS別表農薬を使用しています。
3年以上有機努力し、化学肥料の使用なし。ただし、JAS別表農薬を使用しています。JAS認証は取得なし。
3年以上の有機努力を継続中ですが、やむなく一部に化学肥料や農薬を使用しました。
3年未満の有機努力で転換中。今回の栽培には化学肥料の使用なく、農薬不使用か、もしくはJAS別表農薬を使用していることがあります。
放射性セシウム値(134と137の合算)検出下限値1Bq/kgの検査で放射能測定をした結果、
「不検出」が確認された品ものに表示しています。(Not Detected =「不検出」)