2021年9月3週号 さかうえの坂上 隆代表 |
穀物を与えず、自家製の粗飼料で育てた黒毛和牛
ストレスフリーの周年昼夜放牧
鹿児島県志布志市にある、県内屈指の農業会社、(株)さかうえ、坂上 隆代表は、2019年9月より畜産事業を開始し、現在では九州産黒毛和牛120〜140頭を、志布志市の中間山地に広がる里山の、自社管理の160haの土地において約100ヵ所(15ha)の耕作放棄地を電気柵で囲った放牧地に、基本的に周年昼夜放牧して育てています。好きな時に食べ、好きな時に運動し、好きな時に寝るストレスの少ない飼育環境です。牛舎は1棟あり、体調を壊した牛を休ませるときに使います。
エサは自家製粗飼料だけ
それらの牛のエサは、その放牧地に自生してくる野草、牧草飼料(イタリアンライグラス、ローズグラス、バヒアグラス、スーダングラス)と、約600ヵ所(160ha)で栽培しているデントコーン(飼料用とうもろこし)をロールベーラで梱包したサイレージ(嫌気状態で乳酸発酵)、「サイロール」です。一般の畜産に使用される輸入穀物主体の配合飼料やホルモン剤などの使用はありません。抗生物質は牛が病気・ケガ等で苦しんでいたり、生命にかかわる状況以外は基本的に使用はありません。やむを得ず投与する場合は最少必要量で対応します。
放牧地の牧草には、農薬、除草剤の使用はありません。補助的に尿安を使用することがあります。しかし、デントコーンには積極的な使用ではありませんが、天候などによる害虫の大量発生時にはやむを得ず殺虫剤(バダン5G水和剤)、除草剤(ゲザノンゴールド、アルファード)を使うことがあります。
これらの放牧地は慣行農法の野菜作りなどとローテーションしています。残留農薬は基準値以下で、出荷基準を満たしていますが、その影響は全く0とはいえません。
デントコーンや放牧地としてローテーションする畑の慣行栽培野菜栽培地の農薬使用を今後はなくしていく方向を、坂上さんと確認しています。
農作物の栽培水準を表示するために、オルターでは独自に下記の区分で生産管理の違いを表示しています。
なお、全ての取扱品目は、有機栽培化への3年以上の努力を経た圃場で栽培されたものです。
※オルター農作物栽培基準に準じ、乾物・加工品の一部も表示を始めます。
3年以上有機努力し、JAS認証も取得。農薬・化学肥料の使用はない。
3年以上有機努力し、農薬・化学肥料の使用はないが、JAS認証は取得なし。
3年以上有機努力し、JAS認証も取得していて、化学肥料の使用なし。ただし、JAS別表農薬を使用しています。
3年以上有機努力し、化学肥料の使用なし。ただし、JAS別表農薬を使用しています。JAS認証は取得なし。
3年以上の有機努力を継続中ですが、やむなく一部に化学肥料や農薬を使用しました。
3年未満の有機努力で転換中。今回の栽培には化学肥料の使用なく、農薬不使用か、もしくはJAS別表農薬を使用していることがあります。
放射性セシウム値(134と137の合算)検出下限値1Bq/kgの検査で放射能測定をした結果、
「不検出」が確認された品ものに表示しています。(Not Detected =「不検出」)