昔ながらの木灰こんにゃくを守り抜いています 〜有機生芋こんにゃく100%使用〜
中尾食品工業(株)
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中尾 友彦社長(前列左より3人目) |
オルター特別仕様のこんにゃく
拙著「あなたのいのちを守る安全な食べもの百科」p.114の続報です。
堺市にある中尾食品工業(株)の四代目 中尾 友彦社長は、有機の生芋100%で、凝固剤として昔ながらの木灰を使った、オルター特別仕様のこんにゃくを作っています。3・11原発事故でこんにゃく芋や木灰の産地が汚染された可能性があったことに対して、オルターと協力してそれを乗り越え、昔ながらの木灰こんにゃくを守り続けています。現代では全く珍しくなったこの伝統的なこんにゃくは、こんにゃくマンナンや水酸化カルシウム(通常は石灰石を焼却し加水したもの)を使った臭みのある市販品とは違って、たいへん風味のあるおいしいこんにゃくです。
以前使っていた群馬県産のこんにゃく芋から3・11以降、ごくわずかですが放射性セシウムが検出されたため、3・11以前の原料の切替え時から、広島産の有機こんにゃく芋に原料を変更しています。
木灰についても、従来のものが入手できなくなったことと、放射性セシウムは焼却によって濃縮されますので、産地に注意しなければならない状況です。そのため京都府京北町産に切替えました。食品としての木灰を確保するのにはたいへん苦労しました。ゴミなどが焼却時に混入しないものを得なければなりませんから。
現在は京都府京北町産の木質ペレットを、中尾食品工業の工場でバイオマスボイラーで燃やし、こんにゃく用の安全な木灰を確保しています。
道具も自社開発
三代目の中尾 康司さんは生芋100%でおいしいこんにゃくを安定して作るために、自社で生芋から粘り成分のこんにゃくマンナンを取り出す方法をとりはじめました。
また、オルターに指摘されたプラスチックやアルミなど有害な材質の機械や容器を工場から排除するために、機械屋でもある中尾さんは、ステンレス製などの機械や容器を導入し、改良・改善・オーバーホール・メンテナンスを自社でしてきました。若い頃、機械化したこんにゃく作りをしている大手のこんにゃくメーカーで働いた経験が役立っています。いい製品を作るのにはいい道具が必要なのです。モノ作りの基本は、道具作りだと考えておられます。
創意工夫を忘れない職人気質
中尾 康司さんは「木灰こんにゃくがこんなに素晴らしいとは思わなかった。自然のもので自然のものを固めるという単純なことで、石灰(水酸化カルシウム)で固めた場合にはどうしてもするこんにゃく臭がない、これほど風味に優れたこんにゃくが作れるとは」と素直に驚いています。また、「オルターのいろんなイベントなどで会員さんの声を直接聞けてたいへん励みになった」と喜んでいます。「食べてくれる人たちの顔が見える製品作り、信頼、信用の大切さがよく分かる。真面目にコツコツと仕事をしていくことが大切だ」と語っています。
食の欧風化にともなって、食材としてのこんにゃくの使用量が減ってきているようですが、こんにゃくの食物繊維は昔から腸の掃除に良いといわれており、健康管理の要である腸の健康にたいへん良いものです。伝統的日本料理の強い味方であるこんにゃくを大いに見直して、利用してはいかがでしょうか。
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